沖縄尚学の双子が切磋琢磨し夏を目指す

 「選抜高校野球・準々決勝、豊川6‐2沖縄尚学」(31日、甲子園)

 九回2死一、二塁。4点を追いかける状況で、沖縄尚学の打席には双子の兄・赤嶺謙。だが、打球は二塁手正面のゴロ。「絶対につないでくれ」‐。見守った弟・赤嶺拓の祈りは届かなかった。

 性格は正反対で、けんかも絶えない。甲子園出発前には荷造りをめぐって言い争いになった。それでも、母・栄さん(50)が「くつろぐ時とか、いつもくっついて座ります」と話すように、お互いかけがえのない存在だ。

 中学時代はともにレギュラーだったが、拓は高1夏の練習試合で自打球を左目に当てて2カ月離脱。復帰直後の練習試合では、走塁中に左手親指付け根を骨折した。昨秋の九州大会で背番号8を付けた謙に対し、拓は14。二度の不運で差がついたが、けがを言い訳にすることはなかった。

 定位置を取り戻すため、拓はプライドを捨てた。かなりの負けず嫌いだが、弱点と自覚する打撃については謙のアドバイスに耳を傾けた。ただ“上から目線”が気にさわり「俺もケガしなかったら打てる!!」と反発することもあった。

 謙は3試合全てに先発したが、拓は出番がなかった。「一緒に来られてよかった」と話す謙に対して「正直悔しい」と、拓。夏は、昔のように2人でグラウンドを駆け回る。

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