明徳・馬淵監督「勝てる試合だった」
「選抜高校野球・準々決勝、佐野日大7‐5明徳義塾」(31日、甲子園)
明徳義塾は延長十一回の末、5‐7で佐野日大に敗れ、2004年以来、10年ぶりの春4強入りはならなかった。馬淵史郎監督(58)は「開き直れ」と打線を奮起させ、いったんは逆転に成功したものの、最後は相手の粘りに屈した。今大会2勝を挙げ、甲子園での監督通算勝利数は「44」(史上5位)に伸ばしたが、悲願のセンバツ優勝にはまたも届かなかった。
得意としていたはずの接戦に敗れた。04年以来、春10年ぶりの4強入りはならず。明徳義塾・馬淵監督は首をひねりながら「勝てる試合だった」と悔しげな表情を見せた。
エース・岸が三回までに4失点。思わぬ展開でベンチに重苦しい空気が漂う中、指揮官は六回の攻撃前に円陣を組み「開き直れ」とナインを鼓舞した。
昨秋の四国大会準決勝で今治西に完敗し、「ほとんどあきらめていた」という今大会の出場だった。「ウチは32校中、32校目の代表。失うものはない。開き直れ」。その言葉で、選手たちは思い切りのいいスイングを取り戻した。六回、今大会No.1左腕と呼ばれる佐野日大・田嶋を攻略。5連打などで4点を奪い、逆転に成功した。
しかし、勝ち切れなかった。七回に犠飛で同点に追いつかれると、延長十一回、疲れの見える岸が3安打と2四死球などで2点を与え万事休した。
智弁和歌山・高嶋仁監督との“名将対決”で注目を集めた初戦を延長15回の末にものにし、関東第一との2回戦も1点差勝ち。チーム伝統の粘り強さは、存分に見せつけた。
それでも指揮官は「涼しいセンバツで、3試合で息切れしているようではダメ」と、厳しい言葉で岸の成長を期待した。さらに「左対左でも打てる打者の育成を急がなければ」と左投手が苦手の打線強化を課題に挙げた。夏に向け、やるべきことがたくさん見えた春だった。