桐生第一サヨナラ負け…山田、力尽く
「選抜高校野球・準々決勝、龍谷大平安5‐4桐生第一」(31日、甲子園)
カクテル光線に照らされた白球が、捕手のミットをかすめ、バックネットへ転がっていく。サヨナラの走者が目の前を駆け抜けると、桐生第一・山田は帽子を目深にかぶり、肩を震わせて泣いた。
「悔しいです。自分のああいう球で負けてしまって申し訳ない」。2年生エースは責任を背負い込んだが、限界は超えていた。2日前に延長15回を完投し、前日の再試合は9回完封。この日は2点リードの七回に、一塁から救援登板した。
「腕は振れたけど、球がいっていなかった」との言葉通り、球威不足は明らか。いきなり自身のけん制悪送球も絡んで、同点とされると、延長十回、先頭打者の打球が右つま先を直撃。強襲安打で出塁を許し、さらに2四球などで1死満塁から、8番・高橋佑への初球、低めを狙ったスライダーが痛恨の暴投となった。
「かけの部分があった。山田と心中のつもりだった」と福田治男監督(52)。継投でしのいでリードすれば、後半のエース投入は予定通り。五回終了後に投球練習をチェックして送り出したが、疲労は隠せなかった。
それでも、3日間で27回1/3、342球の熱投。抜群の制球力で、チームを8強まで導いた事実は色あせない。「本当にいい経験だった。連投でもしっかり投げられるように、もっと球威をつけたい」と山田。成長した姿を聖地で披露するチャンスは、まだ3回もある。