佐野日大・田嶋続投志願「やりきった」

 「選抜高校野球・準決勝、龍谷大平安8-1佐野日大」(1日、甲子園)

 佐野日大(栃木)は龍谷大平安(京都)に敗れ、初の決勝進出はならなかった。今秋ドラフト候補左腕の田嶋大樹投手(3年)は8失点で完投。連投の影響は隠せなかったが、今大会4試合を1人で投げ抜いた。夏は3度全国制覇している龍谷大平安が、春は38度目出場で初の決勝進出を決めた。豊川(愛知)は履正社(大阪)に7‐12で敗れ、初陣での決勝進出を逃した。

 スコアボードを見つめる田嶋の心は晴れていた。高校では自身初という8失点。「しょうがないかな。やりきった感はあった」。大会ナンバー1左腕は、すがすがしい表情で言った。

 前日の準々決勝まで延長2試合を含む3試合連続完投。握力はなく、腕はパンパンの状態だった。直球、スライダーともに本来のキレはない。二回には1番・徳本にスライダーを運ばれ、公式戦初被弾。「一瞬、心が折れた。初めて『本当に無理だ。もう代えてくれ』と思った」。心も体も悲鳴を上げていた。

 だが、次打者を打ち取ると「何かが吹っ切れた。最後まで投げきろうと思った」。投手の本能が心をよみがえらせた。指揮官に続投を直訴。何とかリリースを制御できるサイドに腕の位置を下げて、中盤をしのいだ。「ここまで来たら楽しもう」という仲間の言葉も、大きな力になった。

 聖地で4試合計560球を投げ抜いたからこそ、見つけたものがあった。これまでは自分が打たれれば負け、抑えれば勝った。「ゼロにこだわる」と言ってきた。だが、今大会は打線に助けられての4強だった。「収穫?投げきることに関しての考え方です。打たれても引きずらず自分の投球ができたのは成長したかな」。孤高の左腕は、真のエースに脱皮して、最後の夏に戻ってくる。

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