高知のエース酒井“最後の夏”で復活だ
高知のエース・酒井祐弥投手(3年)が、自身2度目の甲子園出場へ闘志を燃やしている。プロも注目するMAX141キロ右腕は、2年生で出場した昨春センバツで快投を見せ、チームの4強入りに貢献した。その後は故障の影響もあって不振が続いたが、最後の夏を前に状態は上がっている。
全身をしならせるようなフォームに躍動感が戻ってきた。快速球が低めに伸びる。「本来の自分のピッチングを再確認して甲子園に行きたい」。高知のエース・酒井が、最後の夏に向けて調子を上げてきた。
大きく成長を遂げた昨春センバツ。2年生で背番号「10」だった酒井は、3年生右腕の坂本優太と“Wエース”を形成してチームを4強入りに導いた。
全4試合に先発し、計20回を投げてわずか2失点。MAX141キロの直球と縦に大きく割れるカーブ、そして決め球フォークで全国の強打者を次々に抑えた。
ただ、その聖地での快投が「重圧になった」と酒井は振り返る。センバツ後は周囲の期待に応えようとするあまり、力んで投球フォームを崩した。昨夏は県大会決勝で明徳義塾に敗れ、秋は準々決勝で高知東工に13安打4失点で完敗。今春のセンバツ出場も逃した。
さらに冬場は腰の痛みで満足な練習ができず、3月には右肘も痛めた。真面目な性格の右腕は思い悩む時間が増えていた。
故障が癒えた春の県大会で準優勝。自信も取り戻しつつある。今月8日の招待野球では済美と対戦。5回4失点でマウンドを降りたが、昨春センバツ準決勝でも対決した剛腕・安楽との投げ合いで闘争心に火が付いた。
今年も明徳義塾が最大のライバルになるだろう。島田達二監督は「酒井がしっかり投げないと勝てない。やってくれるでしょう」と奮起を促した。「チーム全員で優勝したい」。復活を期すエースには2度目の聖地しか見えていない。