創部8年目悲願へ呉左腕エース西田気合
全国高校野球選手権広島大会は7月11日開幕する。2007年野球部創部の呉が、悲願の甲子園出場に燃えている。カープの山内泰幸投手コーチ、オリックス・海田智行投手の高校時代を指導してきた名将・中村信彦監督(59)が、創部以来指揮してきた。エース左腕の西田晟(3年)を中心にチームをつくり上げた名将は「勝つチャンスはある」と、7度目の夏に意欲をみなぎらせた。
今春の県大会で4強入りした呉。夏への試金石となる中国大会に初出場しエース左腕・西田が、大きな手応えをつかんだ。
初戦の関西(岡山)戦、序盤に4点を失い敗れたが、中盤以降は凡打の山を築いて完投した。「変化球の制球力を試した。監督から教えてもらった」とフォークなど数種類の変化球で打者を打ち取った。「いろんな握りを自分で試してた。ただ力んだら駄目」と試行錯誤する中で夏に向けて自信をつかんだ。
西田をもり立てるのは、遊撃を守り、攻守の要である柏尾祐輔主将だ。チームを変えた試合がある。広陵と戦った昨秋の県大会2回戦、最終回に失策で加点され0‐3で惜敗した。「接戦の中、一つのミスから崩れたことを教訓にしたい」。大会後、先輩後輩に関係なく原因を指摘し合い、チームの守備力強化に努めてきた。
夏の大会は激戦必至だ。中村監督は「勝ち抜いていくために西田以外の投手にも期待している」と、総力戦を見据える。
創部8年目の悲願に向け、西田は「やるべきことは分かっている」と気合を入れる。指揮官は「無駄な失点をなくして僅差を拾う戦いができれば。勝つチャンスはある」と、言葉に力を込めた。