広陵復活へ…小さなエースの決意
第96回全国高校野球選手権広島大会は11日に開幕する。広陵が4年ぶりの夏、甲子園出場を目指す。春季広島大会で優勝し、中国大会でも王者に輝いた。中心はエースの吉川雄大投手(3年)。身長167センチと小柄ながら、抜群の制球力で試合を支配する。伝統校の背番号1を背負う誇りを胸に、優勝旗奪還を誓う。
常勝を宿命づけられた伝統校の背番号1を勝ち取った。吉川は「絶対に優勝したい」と言い切った。4年ぶりの夏、甲子園へ向け強い決意で臨む。
身長167センチと小柄ながら直球は最速141キロ。カーブ、スライダー、パームを織り交ぜ打たせてとる投球が持ち味だ。春季中国大会決勝戦では、強打の開星を9回3安打。自身初の完封勝利でチームを7年ぶりの優勝に導いた。
1つの敗戦が吉川をエースへと押し上げた。昨秋、中国大会の広島新庄戦だ。先発し四回を持たず降板。山岡就也投手(3年)との投げ合いに敗れた。チームもコールド負けを喫した。
「悔しかった」。打倒・広島新庄を胸に刻み練習に打ち込んだ。目標とする投手像は、広陵の先輩でもある広島カープの野村。「制球力がすごい。身長が高くなくても勝てる投手」。球速にはこだわらず、制球力の向上に努めた。ブルペンでは外角低めを狙い納得がいくまで投球を続けた。
この冬には「一番、投げやすかった」とパームを習得。緩急を使った投球にも磨きをかけた。
「気持ちでは誰にも負けない。全力で向かっていきたい」。小さなエースが、その右腕で聖地への道を切り開く。