池田Wエースで22年ぶり夏へ万全
第96回全国高校野球選手権徳島大会は12日に開幕する。今春センバツに27年ぶりに出場した池田が、“Wエース”で22年ぶりの夏の甲子園を狙う。センバツ2試合で先発した名西宥人投手(3年)に加え、調子を崩していた昨秋のエース・渡辺剛志投手(3年)が復調。ともに完投能力のある2人の右腕を使い分けながら、厳しい夏の戦いを乗り切る態勢が整った。
ブルペンで並んで投げる2人の右腕。入学時から競い、励まし合いながら池田復活を支えてきた。「2人で力を合わせ、夏も甲子園に行きたい」と名西。渡辺も「喜びを分かち合いたい」と言葉に力を込めた。
昨年の新チーム結成時、背番号「1」を背負ったのは渡辺だった。制球力があり、小柄ながらマウンド度胸は抜群。しかし「抑えようという意識が強すぎて力んでいた」と投球フォームを崩し、秋の大会では打ち込まれる場面が目立った。
その間に名西が急成長。球威十分の直球と鋭いスライダーを武器に四国大会準優勝の原動力となり、チームを27年ぶりのセンバツ出場に導いた。2人の立場は完全に逆転した。
池田の登場に沸いたセンバツ。海南(和歌山)と対戦した1回戦のアルプス席には、水野雄仁氏(現野球解説者)、畠山準氏(現DeNA職員)をはじめとする全盛期のOBや多くのファンが詰めかけた。その中で新世代の池田ナインは持ち味の粘りを発揮し、4‐3でサヨナラ勝ち。名西の力投が劇的な勝利を呼び込んだ。
豊川(愛知)との2回戦。7回4失点で降板した名西のあとを受け、渡辺が八回のマウンドに上がった。無失点に抑えたが、チームは1‐4で敗退。渡辺は「物足りなさ」を感じたという。
「1イニングしか投げられなかった。夏はもっと投げたいと思いました」
センバツ後、渡辺は懸命にフォーム修正に取り組んだ。制球重視の投球に磨きをかけ、「高校生活の中で一番いい状態になった」と自信を取り戻した。センバツの後に調子を落とした名西と比べ、練習試合では渡辺の好投が目立った。
岡田康志監督(53)は「夏は2人を併用する形になる。どちらも先発ができるし、早い回からの継投もありえる」と話した。春とは比べものにならないほど過酷な夏のマウンド。渡辺の復活で投手起用にも厚みが増す。
どちらが「1」をつけるのか、背番号は大会直前に決まる。ただ、2人にエースナンバーへのこだわりはない。「何番であれ、マウンドの上にいるのがエース」と名西。渡辺も「自分ができる仕事を精いっぱいやるだけ」と言い切った。
第1シードの池田は2回戦からの登場で、20日に阿波‐小松島の勝者と初戦を迎える。目指すは1992年以来、22年ぶりとなる夏の甲子園。再び聖地に校歌を響かせるため、池田の“Wエース”が力を振り絞る。