ミラクル星稜、聖地でも逆転!粘り再び

 「全国高校野球・1回戦、星稜5-4静岡」(12日、甲子園)

 石川大会決勝で8点差を逆転した星稜(石川)が、持ち前の粘りで静岡(静岡)に5‐4で逆転勝ち。1998年夏以来、16年ぶりの甲子園勝利を飾った。4‐4の同点で迎えた八回、7番・岩下大輝投手(3年)が右中間を深々と破る適時二塁打を放ち勝ち越した。岩下は投げても粘りの投球で、149球で完投した。

 甲子園でも、持っていた‐。石川大会決勝で九回に8点差をひっくり返してサヨナラ勝ちした“ミラクル星稜”が聖地でも鮮やかな逆転劇を演じ、1998年夏以来、16年ぶりに初戦を突破。林和成監督(39)は「接戦なら自分たちのスタイルを貫いていける。やってくれると思っていた」と選手をたたえた。

 七回に1点を失い2点ビハインドとなったが、それも逆転への序章にすぎなかった。その裏に相手のミスと2番・中村の左前適時打で同点とすると、八回1死二塁で打席に岩下。奇跡の舞台となった石川大会決勝で場外弾を放った背番号1が、初球の139キロ直球を振り抜いた。右中間を深々と破る決勝の適時二塁打に、「味方が追い付いてくれて気分も高まっていた。絶対打とうと思っていた」と笑顔をはじけさせた。

 岩下は投げても7安打4失点で完投。暴投で先制点を献上するなど立ち上がりこそ乱れたが、尻上がりに調子を上げ、最後は三者三振で締めくくった。4月に右肩を痛め、7月には感染性胃腸炎を発症し39度の高熱を出すなど調整に苦しんだエースが、149球の力投で復調を果たした。

 チームは今年「必笑」をテーマに掲げる。「笑顔で野球を楽しもう」と3年生で考えた合言葉。「ずっと笑ってできたし、逆転できると声も出ていた」と岩下が言うとおり、劇勝の原動力となっている。一方で、県大会決勝のウイニングボールを持参している林監督は「(決勝が)財産になったと思う」と言いながらも、「ミラクルは起こしたくない。本当は先行して逃げ切りたい」と本音も漏らした。2回戦こそミラクルを返上して、必ず笑う。

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