広陵サヨナラ負け…吉川無念の押し出し
「全国高校野球・1回戦、三重5-4広陵」(13日、甲子園)
広陵(広島)は三重(三重)にサヨナラ負けを喫した。4‐4の延長十一回2死満塁で吉川雄大投手(3年)が押し出し四球。悲願の夏の甲子園初優勝の夢は、初戦で散った。
「思い切り腕を振った」。こん身の直球が高めに浮いた。三重ナインがサヨナラ勝ちに酔いしれる。吉川の視線は聖地の空を漂った。「悔しい。みんなが点を取ってくれたのに守れなかった」と声を絞り出した。
2‐2の七回に一時勝ち越しの左越えソロを放った。だが4‐2の九回に同点の2点打を浴びた。それでもエースを責める者は誰もいない。中井哲之監督(52)は「粘り強く投げた」と誇った。
祖父・福本好伸さん(75)の夢をかなえた。祖父も元高校球児。幼少期はキャッチボールの相手だった。この試合は自宅でテレビ観戦した好伸さん。白星こそ届けられなかったが、勇姿は見せることができた。
「悔いはない」。最後まで涙はなかった。この日を戦い抜いたことを誇りに思う。