兄追いかけ夢舞台へ 岩国・二十八智大
「全国高校野球・1回戦、健大高崎5-3岩国」(13日、甲子園)
背中を追った。岩国・二十八智大内野手(3年)はずっと兄を目指してきた。
5つ上の貴大さん(22)は野球を始めた頃から憧れの存在だ。印象的だったのは貴大さんが岩国のユニホームを着ていたときに山口大会で放った本塁打。兄を追って同じ高校へ進学した。
そして弟は聖地の土を踏む。優勝候補だった5年前は山口大会3回戦でまさかの敗戦を喫した。憧れの人も目指した夢舞台。「兄の分も家族を楽しませてやろうと思います」。
思いは巡る。兄からは「頑張れよ」と連絡があった。教師だった父・博之さんは今年2月に病死。母・昭子さん(54)から「お父さんのためにも打てるといいね」という言葉ももらった。兄へ、父へ…4番の自分が打たなければ。
「一打席目の初球、真っすぐの甘い球が来たのに逃してしまった」。焦りと重圧でバットが出ない。4打数ノーヒット。それでも貴大さんは誇らしそうだった。「甲子園に出られる選手じゃなかった。彼なりに努力したんでしょうね」。
家族みんなにこう伝える。「悔しさしか残っていない」と。兄は夏の悔しさを乗り越え、中大からNTT東日本へ進み、現在も野球を続けている。「ずっと憧れです」。まだ背中は遠い。この悔しさを胸に、これからも兄を追う。