明徳・岸「堂々と」去る…聖地で1181球
「全国高校野球・2回戦、大阪桐蔭5‐3明徳義塾」(19日、甲子園)
明徳義塾(高知)は3‐5で大阪桐蔭に敗れた。4度目甲子園の146キロ右腕・岸潤一郎投手(3年)は立ち上がりの乱調が響き、10安打5失点で力尽きた。
岸の目に涙はなかった。4度目の甲子園は2回戦敗退。3年間で一番短い夏になった。悔しくないはずはない。だが146キロ右腕は「やれることはやった。後輩たちに堂々としている姿を見てほしい」と最後まで涙を見せなかった。
初回、最も警戒していた相手の2番・峯本に二塁打を許すと、3番・香月に先制2ランを浴びた。強力打線に自慢のカットボールを狙われ、四回までに重すぎる5点を失った。
九回、肺気胸の手術から復帰したばかりの3番・多田が2死から内野安打で出塁すると、4番・岸は「気持ちが伝わった」と左翼席へ2ランをたたき込んだ。一昨年は準決勝で藤浪(阪神)に挑み完敗。昨年は3回戦で森(西武)を擁する強力打線を抑え5‐1で勝った。大阪桐蔭は「自分の力を確かめられる相手」。3年連続の対決。最後まで勝利への執念は捨てなかった。
進路はこれから
「岸のおかげで、いい夢を見させてもらった」と馬淵史郎監督(58)。プロ注目の右腕は進路について「まだ考えていない」と話した。4度出場で計10試合に登板し、夢のマウンドから1181球を投げた。「甲子園は自分を変えてくれる場所だった。4回も来れて楽しかった」。岸は誇らしげな笑顔で聖地を去った。