あこがれの叔父と聖地出場 八頭・藤原
「全国高校野球・3回戦、大阪桐蔭10-0八頭」(21日、甲子園)
一塁側アルプス席から見た叔父の姿がかっこよかった。2003年夏の1回戦・小山(栃木)戦。大観衆の前で堂々と采配をふるい、八頭(鳥取)に勝利をもたらした。小学1年生だった八頭・藤原直樹内野手(3年)は「自分も八頭のユニホームを着て甲子園に出たい」とあこがれを抱いたという。
あれから11年。2人は一緒に夢舞台に立った。06年に監督を退いた叔父・藤原文夫さん(45)は、野球部部長としてベンチ入り。大阪桐蔭を相手に劣勢が続く中、「下を向くな!!」とナインを鼓舞し続けた。
叔父は選手としても87年夏の甲子園に出場している。八頭の2番・遊撃手。初戦で敗れたが1安打を放った。そのときの甲子園の土は瓶に詰められ、藤原の自宅の玄関に飾られている。アルプスに駆けつけた父・裕二さん(50)によれば「弟と息子は性格もプレースタイルもそっくり」。2人とも口数が少なく、守備が堅実でバントが得意だ。
初戦の角館戦で3安打を放った藤原は、この日は2打数無安打。八回に代打を送られベンチに退いた。
完敗に終わった試合後、叔父は「彼は甲子園で3安打。私を追い越してくれてよかった」と目を細めた。藤原は「悔しいけど、甲子園は楽しかった」と笑った。叔父の呼び方は「部長さん」から「おっちゃん」に変わる。玄関に並べて飾るために、聖地の土はたっぷりと袋に詰めた。