大阪桐蔭4強 主将・中村が勝ち越し弾
「全国高校野球・準々決勝、大阪桐蔭5-2高崎健康福祉大高崎」(22日、甲子園)
準々決勝4試合が行われ、大阪桐蔭が高崎健康福祉大高崎(群馬)を5‐2で破り、2年ぶり5度目の準決勝進出を果たした。打撃不振にあえいでいた主将の1番・中村誠外野手(3年)が、2‐2の七回に勝ち越し2ランを放つなど、2安打3打点と活躍した。準決勝は敦賀気比との顔合わせで、23日の休養日を挟み、三重‐日本文理とともに24日に実施される。
復活を願うナインの心が一つになって、主将のバットに乗り移った。七回1死一塁。大阪桐蔭の中村が、低めのスライダーを打ち抜いた。「少し先っぽ」という打球は浜風にも乗って左翼席へ。値千金の勝ち越し2ランに「甲子園に来て、打てていなかったので、すごくうれしい」と声を弾ませた。
責任感の強い切り込み隊長は苦しんでいた。3回戦まで12打数3安打。打率・250と役割を果たせず、前日の八頭戦の八回に代打を送られた。
「悔しかった」という試合後、映像で打撃フォームをチェック。好調時に比べ、体の開きが早いと気付いた。宿舎の地下でバットを振り、理想の動きを体に染みこませた。その成果で八回にはダメ押しの左前適時打。2安打3打点の活躍で4強に導いた。
「機動破壊」のスローガンを掲げ、この日も4盗塁を決めた高崎健康福祉大高崎の野球を、中村は「すごかった」と表現する。だが大阪桐蔭ナインの胸にも、それに負けない4文字が刻まれている。
「一球同心」。全員が同じ思いを持って1球に魂を込める、という意味だ。野球部の朝は、部訓が記された旗を練習グラウンド中堅奥のポールに高々と掲げることから始まる。7月の大阪府大会3回戦で顔面に死球を受けて鼻骨を骨折。アクシデントも打撃不振も、仲間の励ましで乗り越えた中村は「全員の力で勝てた」と胸を張った。
西谷浩一監督(44)も「これで乗ってくると思う」と主将の復調を喜んだ。藤浪晋太郎投手(現阪神)を擁して春夏連覇して以来、2年ぶり夏4度目の全国制覇へあと2勝。自信を取り戻した中村は「日本一が見えている。2年前の先輩に並べるように頑張りたい」と闘志をみなぎらせた。