三重が準V 今井悔いなし814球

 「全国高校野球・決勝、大阪桐蔭4-3三重」(25日、甲子園)

 初めて決勝に進出した三重は大阪桐蔭に逆転で惜敗。1955年の四日市以来、三重県勢59年ぶりの優勝はならなかった。“三重の鉄腕”今井重太朗投手(3年)は味方打線の3得点を守りきれず、7回4失点で降板。今大会6試合すべてで先発、合計52回で814球の力投を見せたが、頂点まであと一歩及ばなかった。

 聖地で誰よりも多く白球を投げ込んだ“重太朗の夏”は終わった。「自分のせいで負けたのは事実。状態はよかった。悔いはない」と、大粒の涙を帽子で隠した三重・今井。最後まで貫いた強気の投球は大阪桐蔭を追い詰めたが、全国制覇にあと一歩及ばなかった。

 六回を終えて3‐2とリード。頂点が見えかかっていたが、七回に2死満塁のピンチが訪れた。打者は1番・中村。「絶対抑えるつもりで思い切り腕を振ったんですが、ちょっと高く入ってしまった」という132キロの直球は、二塁後方への飛球に。ダイビングキャッチを試みた中堅手・長野の前に落ちて、決勝の2点適時打となった。

 聖地を沸かせた鉄腕も、入学時は「周りはいい投手ばかりで無理だろうなと思った」。今春のセンバツでは智弁学園の強打者・岡本に2本塁打された。「あの負けがあったから、この舞台にいる」と屈辱をバネにした。

 中村好治監督(60)も「あの大阪桐蔭が4点取るのが精一杯だった。すごく努力したと思う」と、その成長に目を細めた。今井は最後の夏の814球を「甲子園は1試合ごとに成長させてくれた場所。誰よりも多く投げられたのは幸せ。またここに戻ってこられたらいいと思う」と振り返った。卒業後は大学へ進む。その先の未来へ夢をはせた。

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