鹿児島実1イニング10点、歴史的開幕星
「全国高校野球・1回戦、鹿児島実18-4北海」(6日、甲子園)
レジェンドの1球が流れを変えた。打席で目を見張ったソフトバンク・王会長の始球式。「あまりにもいいボールが来たのでビックリしました」。外角低めに決まったストライクが、緊張していた鹿児島実・有村健太内野手(3年)の肩の力を抜いた。
直後の第1打席。「初球をフルスイングすると決めていた」とサイレンが鳴りやまないうちに、痛烈に右前へはじき返した。先制の起点となると、三回の第2打席は三遊間を破って追加点を呼んだ。
四回は左前適時打を放ち、続く五回は四球で出塁し、大会創設100年の節目に開幕試合では史上初の1イニング10得点を記録。八回も中前打を放ち、有村が出塁したイニングにはすべて得点が刻まれた。
開幕試合では歴代2位タイとなる18得点。4安打5出塁の有村は「結果は素直にうれしいです」と爽やかな笑みを浮かべる。春まで背番号1をつけていたが、度重なる故障でエースを橋本に譲った。鹿児島大会の3回戦から与えられた場所は経験のない一塁。それでも心は折れなかった。
小1の時、母・喜代さんが「きかん坊だったから」と、地元のソフトボールチームに入団を拒否された。その時、我慢の大切さを学んだ。歴史的な始球式からの大爆発。高校野球と同じ年に産声を上げた鹿児島実が、開幕試合を華々しく飾った。