王さん異例のお願い、清宮を「育てて」

 第97回全国高校野球選手権大会が6日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕。創設100年の節目を迎えた大会が開幕し、開会式後の第1試合の始球式は、ソフトバンク・王貞治球団会長(75)が務めた。プロ野球経験者として初めて甲子園大会の始球式を行った王会長は、積み重ねられてきた高校野球の歴史の継承を切望。早実の後輩となる清宮幸太郎内野手(1年)ら、新たな時代を担う球児たちにエールを送った。

 万雷の拍手が銀傘に響く中、“世界の王”がゆっくりと聖地のマウンドに向かう。年齢を感じさせない、流れるようなノーワインドアップのフォームから放たれたボールは、ノーバウンドで外角低めに構えた捕手のミットに吸い込まれた。大会創設100年を飾るのにふさわしい始球式。3万5000人で埋まったマンモスから再び拍手の渦がわき起こった。

 「内心ドキドキしていた。ちゃんといい球を放らなきゃいかんと。恥をかかなくてよかったというのが本音」。安どの笑みがこぼれた。幾多の大舞台を経験した王会長にも、それほどの重みを感じさせる大役だった。

 根底には、高校野球と球児への愛がある。早実1年時の56年夏から4季連続甲子園出場。57年春は優勝投手となった。「出ている選手のために、と思って投げました」という高校時代以来の聖地のマウンドには、朝風呂に入って身を清めて臨んでいた。

 時代の節目に望んだのは、歴史の継承とさらなる発展だ。「100回、200回と、みなさんにつないでいってほしいと、強く思った」。熱い口調で話すと、新時代を担う球児たちには「ひと言で言えばうらやましい。勝った負けたじゃなくて、思い出を築き上げる場所。胸を張って戦ってほしい」と願った。

 その中には、今大会に出場する母校・早実の後輩もいる。「何とか頑張ってほしい」と期待を寄せた王さんは、清宮についても「自分の打撃をしてくれればいい」とエール。さらに報道陣には「プレッシャーにつぶされなきゃいいんだけど。お手柔らかに頼みます。育ててやってくださいね」と“お願い”した。次世代の担い手を、温かく思いやる親心がにじんだ。

 自身も先人から受け取ったバトン。「高校野球は特別なんだなと。野球の原点ですね」。“世界の王”が投じた白球に込めた思いは、また連綿と受け継がれていく。

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