古豪復活!高松商初V 敦賀気比を逆転

 「明治神宮大会・高校の部決勝、高松商8-3敦賀気比」(17日、神宮球場)

 高校の部の決勝が行われ、37年ぶり出場の高松商(四国)が今春センバツ王者の敦賀気比(北信越)を終盤に逆転し、初優勝を果たした。春夏計4度の甲子園制覇を成し遂げながら、近年は低迷していた古豪の復活。中学教諭から転身2年目の長尾健司監督(45)は上下関係を撤廃し、“軟式戦法”をアレンジして頂点に立った。次は確実にしている来春のセンバツで全国制覇を目指す。なお来春センバツの「神宮枠」は四国から選出される。

 自然とマウンドにできた歓喜の輪。選手たちが空に向けて突き上げた拳が、古豪復活の確かなのろしだった。春夏4度の全国制覇を過去のものとは言わせない-。就任2年目で伝統校をよみがえらせた長尾監督は「全然考えていなかった」と驚きを隠さない。

 中学校教諭として複数の学校を軟式野球の全国大会へ導いた。その手腕を買われ、OBでないにもかかわらず、高松商の監督に抜てきされた。だが就任当初、野球部に残っていたのは往年の強さではなく封建的な上下関係。「選手たちの能力は高かったけど、自分のことを自分でやれなかった。そこからまず変えようと思った」と指揮官は明かす。

 監督自ら、いの一番にグラウンド整備を始めた。「子供は大人を見て学ぶ。大人がそういう姿勢を見せないと。日本の社会も一緒」。この姿勢がチームにはびこっていたあしき空気を壊した。「監督さんを甲子園に連れて行かないとバチが当たる」-。選手たちがその思いを共有し、生み出した一体感が3点を追う八回の猛攻へとつながっていく。

 無死満塁から暴投で1点を返すと、四国大会から不振だった主将の米麦圭造内野手(2年)が同点の中前適時打。さらに美濃晃成内野手(2年)、植田理久都内野手(1年)の連続適時打で一挙5点。九回にはバント攻撃で相手投手を攻略し、3点を加えて試合を決めた。

 足の速い選手を重視してオーダーを組む“軟式スタイル”に「硬式ではバントの重要性を学んだ。軟式は1死三塁をつくらないとなかなか点は入らないけど、硬式はいかに1死二塁をつくるか」と培ってきた戦術もアレンジした長尾監督。「この優勝は忘れるべき。そうじゃないとまた30年間、眠ってしまう」。16年ぶりに公立校が果たした神宮制覇をプロローグに、新たな伝統が始まる。

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