ISPSハンダマッチプレー選手権開催決定!谷原秀人も参戦
半田晴久氏(66)が会長を務める国際スポーツ振興協会(ISPS)が日本のゴルフ界に新風を巻き起こす。昨年まで開催した「ISPSハンダグローバルカップ」を今年からゴルフの原点といわれる「マッチプレー競技」へと変更し、名称も「ISPSハンダマッチプレー選手権」として新たな歴史の一歩を踏み出すのだ。8~9月に千葉・浜野ゴルフクラブで行われる大会の概要がこのほど、都内で行われた会見で発表され、半田会長をはじめ、出場するISPS所属のプロゴルファー・谷原秀人(38)や藤本佳則(27)らが意気込みを語った。
ゴルフの原点回帰へ。半田会長はその経緯と真意を会見で明かした。発端は、昨年、「ネスレインビテーショナル日本プロゴルフマッチプレー選手権レクサス杯」をBSでテレビ観戦した時のこと。スポンサーであるネスレ日本・高岡浩三社長の言葉に「インスパイアされた」という。
「最後に高岡さんが『マッチプレーの火を絶やさない』とおっしゃったんです。本当にそうだなと思いましてね。その言葉に私はインスパイアされました」。そう言い切った半田会長は返す刀で、同大会を制した時松隆光が、JGTO(日本ゴルフツアー機構)の賞金ランク上位に入らず、シード権もないといった実情を受けて「せっかくの高岡さんの気持ちが十分な形になっていないんじゃないか、残念だなと思いまして」と激白。ISPSでマッチプレーをやろうという発想に至った背景を明かした。
半田会長は「高岡さんがやるまで、なぜ14年間もマッチプレーをやらなかったのか」とJGTOに問うた。その大きな理由は「マッチプレーはいつ終わるか分からないので、テレビ放映の枠にはまりにくい」ということだった。そこで、半田会長は決意した。
「テレビ放映と観客動員の2つを諦めました。そうすれば、JGTOだって本当はやりたいマッチプレーの火をともせる。普通のスポンサーは株式会社で営利追求型ですから、対費用効果を考えますが、ISPSは一般社団法人なので社会貢献を第一に追求します。ネスレとISPSでマッチプレーが国内に2大会あれば、ゴルフ界も活性化する。グローバルに活躍できる場になる。マッチプレーはゴルフの原点なのですから、ぜひやりましょうと」。半田会長は日本男子ゴルフ界の現状打破に燃えていた。
その思いに応えるかのごとく、テレビ放映に追い風が吹いた。マッチプレーならではの切り口での画期的な放送形態がBSイレブンで実現するのだ。
共催するJGTOの大西久光副会長がその放送形態の利点について実例を挙げながら語った。
「先般(今年3月)、谷原選手が世界マッチプレー(準決勝)でダスティン・ジョンソンとすごい戦いをしたわけですが、テレビの同時中継ではワンマッチを続けて見れず、切れ切れになる。対戦する2人のメンタルな心の流れの全体が見られない。そこで今回は、最後の2、3日間の中で6ゲームをピックアップして、それぞれを60分番組としてフルに放送していただくことになった。テニスの錦織圭選手の試合でも、結果が出ていて録画とは分かっていても、ハラハラする場面を『ここがキーポイントだったな』という見方で楽しめる。ゴルフでも谷原選手とジョンソンの白熱した18ホールは勝負が分かっていても見たい。そういう興味を追求していきたい」
このように熱弁を振るった大西副会長に対し、半田会長は「大西さん、80歳になられましたけど、頭はシャープで説得力はあるし、行動力が早くて斬新な、いまだかつてなかったものをやるスピリットがある。私と小学校が同じなんですが、大西さんのおかげで前人未到の新しい枠組みができた」と絶賛した。
さらに半田会長は「賞金総額も大きくしてゴルファーを刺激し、世界で戦える人材を育てたい」と明言。賞金総額を2億1000万円とした。その理由について「最初は3億円で考えていたが、最高額は2億円だということで、ちょっとだけ、1000万円だけ“でべそ”が出る形にした」と説明し、「それで選手の刺激になれば、ぼちぼちと上げていく。来年は「でべそ」の上の“おでき”が大きくなって2億2000万、再来年は2億3000万…」と、かゆいところに手が届く半田流の“ニンジン作戦”で出場選手たちを鼓舞した。
焦点は日本人選手の奮闘にある。半田会長は「昨年の『ハンダグローバルカップ』はベストテン中9人が外国人で、日本人は平塚哲二選手だけだった。世界の一流選手はマッチプレーもストロークプレーも両方強い。全部そろってないと世界で勝てないんだなと。そういう意味で、志ある人に今回は出ていただいた」と語り、その熱い視線を同席した谷原と藤本に投げかけた。
谷原は「半田会長、ありがとうございます。選手はこの大会をメインにして優勝を狙っていく金額だと思います。昨年、シードを落とした選手でも、ベスト4に入れば復活のチャンスがあるというめったにない大会ですし、優勝すれば賞金王も近づくので、みんな目の色を変えてくる大会じゃないかと思います」と感謝した。
さらに、谷原は「マッチプレーは全部で7回戦、相当な体力とメンタルが重要な大会ですので、これによって日本の選手たちがどんどん強くなっていくんじゃないかと思います」と意義を語った。そして、「これまで2年連続予選落ちだったのですが、今回は(シードで)予選落ちはないので思い切って最後まで戦って行ければと思います。楽しみです」と力強く宣言した。
半田会長は谷原に対して「(初戦の3回戦で)負けても200万円が入りますので、気楽に頑張っていただきたい」と会場の笑いを誘い、「谷原選手は38歳になっても新しいことをやっている。『俺はこの年だから』ということはなく、何かをつかみ取って次に大きくジャンプするという、そのスピリッツの素晴らしさを体現している」と絶賛した。
一方、藤本は「まず1回戦、2回戦をしっかり勝って決勝に行きたい。半田会長にはお世話になっていますし、恩返しじゃないですけど、いい状態で臨んで頑張っていきたい」とノーシードからの“下克上V”を誓った。