文字サイズ

「ISPSハンダ・ゴールドシニアオープン」来秋開催決定!

 シニア優勝の寺西明(右)とISPS半田晴久会長
1枚拡大

 一般社団法人 国際スポーツ振興協会(ISPS)が主催するPGA(日本プロゴルフ協会)シニアツアー「ISPS・ハンダカップ・フィランスロピーシニアトーナメント」(賞金総額5000万円)が11月15~17日に、千葉県印旛郡栄町の成田ヒルズカントリークラブで開催された。ISPSが主催するシニア大会は40試合目という節目の大会は、シニアの部は寺西明が通算15アンダー6打差のぶっちぎりで今季初優勝。シニアツアー2勝目を挙げた。また同時開催のスーパーシニアの部(68歳以上)は、海老原清治(69)が、大会連覇を果たした。また、表彰式で半田晴久会長(67)は、高齢化社会に向けた取り組みとして来年「ISPSハンダ・ゴールドシニアオープン」の開催を発表した。

 夕暮れが迫った表彰式。冬の近づきを告げるような冷たい風が吹き始めたころ、半田晴久会長が「来年は『ISPSハンダ・ゴールドシニアオープン』を開催します。賞金総額3000万円。優勝賞金600万円」とゴールドシニア史上最高額の大会新設を表明すると、会場は熱い歓喜の渦が巻き起こった。

 すでにISPSは、2019年の男子ツアーからの休止を表明していた。それに代わる動きが注目されていたが、半田会長が繰り出したのは高齢プロゴルファー対策。68歳以上を対象にしたゴールドシニアのトーナメント開催だった。

 具体的には、来秋に開催(会場未定)。火、水曜はシニア大会を賞金2000万円で開催。1日置いて金、土、日でゴールドシニアを開催。80歳以上のベストスコアには50万円のボーナスを用意。ISPS主催の大会ではおなじみのギャラリー無料、さらに先着1000人にお弁当を用意する。

 今、ゴルフ界は、ジュニア世代の育成、強化に力を入れている。ISPSも日本高等学校ゴルフ連盟メインスポンサーを務めている。今回の決断はその流れとは逆方向に思えるが、実は大きな社会的意義が含まれていた。

 世の中は寿命が延び高齢者人口が増えている。その一方でゴルフ人口は会社を退職する65歳を境にグッと減る。年金暮らしで収入が激減。また人との付き合う機会も減ることが大きい。半田会長は「これもゴルフ界が低迷する原因」と言い「ゴルフは、プロでもアマでも、何歳になっても同じように楽しめることを伝えたい」ということも開催趣旨だ。

 現在、50歳以上がシニア、60歳以上はグランドシニア。68歳以上がゴールドシニアに分けられる。ゴールドシニア大会は年2試合で賞金も500万円規模だが、過去最高の賞金を設定したのも過去の経験からだ。

 半田会長によれば、2007年に初めてシニア大会を主催したが、当時シニアは年間3試合しかなかった。そこでISPSが賞金総額1億円で開催するとツアーは盛り上がった。続々と主催者が増え今では年間19試合に。今回も同様にこのカテゴリーを盛り上げ発展できれば、ゴルフ界さらに高齢化社会に貢献できると考える。

 「往年のプロが年を重ねてもすばらしいプレーで頑張っている。だから俺たち頑張ろう!そんな刺激を社会に届けたい」。そんなスポーツを通じた社会貢献を目指す。

 この日の大会は、来年のゴールドシニアの盛り上がりを予告するような熱戦が繰り広げられた。往年のスタープロたちが集い同窓会ムードの華やかさと、すばらしい真剣プレーが随所に披露された。

 スーパーシニアの部(68歳以上)では、海老原清治が最終日は4連続を含む7バーディー「66」のスコアでエージシュートを決め、通算5アンダー2位に5打差を付けて優勝。昨年に続き大会連覇を果たした。ほかに初日は72歳の長谷川勝治が「69」、76歳の小川清二が「75」、最終日に75歳の鷹巣南雄が「71」と、2日間で計4人がエージシュートと、年を重ねてもプロらしいプレーで社会に向けてすばらしいメッセージを発信した。

 もちろん新たな戦いの場は選手も大歓迎。PGA会長の倉本昌弘(63)は「夢のような話。早く年をとりたい(笑)」と言い、海老原は「ありがたいこと」と感謝した。海老原はシニア転向時、試合が少なく苦労しただけに感謝の思いはより深い。「大会は多くの方の協力があって成立することをシニアになって知った。自分たちの生きがいの場所。若い子たちも早くこういうことが分かれば、ゴルフ界も変わる」としみじみ語った。大ベテランからゴルフ界には有意義な言葉も飛び出した。

 もちろん大会についても「普通は68、69歳ならプロとして終わりの年齢。でも68歳からこうして試合を開催してくれると、新しいステージに入って戦えるし体が元気になる。みんな若返る。いい刺激だ」という。「若返りとよみがえり。老人に夢を!」と半田会長。その効果は早くも表れていた。

主要ニュース

リアルタイムランキング

話題の写真ランキング

写真

注目トピックス