時代劇ギャグ漫画、原作者も感極まった舞台を今秋再演
江戸の武士道学校に通う主人公・磯部磯兵衛の何とも自堕落な日常が描かれている時代劇ギャグ漫画『磯部磯兵衛物語~浮き世はつらいよ~』(『週刊少年ジャンプ』連載中)。今春、大阪の劇団Patchが同作を初舞台化し、原作の再現性とバカバカしいほどに陽気なステージが話題となった舞台を、今秋早くも再演。主演の井上拓哉と中山義紘に話を聞いた。
あまりにもとりとめのない展開、数々の妄想シーンなど、再現不可能としか思えない原作を、バカバカしくもマジメに舞台化へ挑戦しているのが魅力の本公演。天井からぶら下がって息子の春画(エロ本)を取り上げる母上や、マッチョになった我が身を妄想する磯兵衛の変わり身など、原作ファンなら一度は目にしたシーンを舞台上でリアルに表現している。さらに終演後に行われるパフォーマンスも見もの。劇中終盤、上半身裸になる展開があるが、その状態でキャスト全員が踊る『筋肉ええじゃないか』は前回より拡大。ミニライブ『ISO LIVE』で再度登場する予定だ。
リピーターが続出するなど、大盛況に終わった初演。磯兵衛役の井上は、「普段はあまり舞台を見ないっていう友人から、『めちゃくちゃ素直に笑えた』と言ってもらえました」とその反響を実感。一方、強烈な存在感を放つ磯兵衛の母上を演じた中山は、「母性が芽生えた。これまで自分が一番目立ったろうと思っていたのが、井上が周りから褒められてるのを聞いてるだけで、うれしいんです。今までにない感情が沸いてきた」と自らの変化に驚いた。
近年は、『少年ジャンプ』のなかでギャグ漫画が3年も続くのは珍しいなか、連載3年目となる作者・仲間りょうは、初演を観劇した際、声を絞り出すように「すごく良かったです。沖縄から東京に出て、いま大阪で上演されてることが、すごい僕にとっては幸せなことです」と感極まっていたという。井上は「シャイな方で、でもめちゃくちゃ感動したのが伝わってきて。原作者の方にそう言ってくださったのが一番うれしかったです」と、キャスト全員がぐっときたそう。
東京進出も視野に入れている彼ら。井上は、「関西をもっともっと盛り上げてから、東京の人からこっちに来てよ、と呼ばれれば」と再演にさらに気合いが入る。初演から脚本が大幅に改訂され、再演というより、ある種別ものという本公演。今度は新たに「コール&レスポンスをやりたい」と中山は話すが、原作が世に知れ渡るきっかけにもなった「処す~?」、「処す~!」の掛け合いがステージで実現されるか期待したい。
舞台『磯部磯兵衛物語~浮き世はつらいよ~ 天晴版』は10月20日~25日にABCホール(大阪市福島区)で上演。チケットは一般6500円ほか、8月20日から各プレイガイドで発売される。
(Lmaga.jp)