手塚治虫の初仕事、桂春團治宅で発見
二代目桂春團治が、戦後すぐの時期に興行で使ったポスターで、漫画家・手塚治虫が描いた小間絵(挿絵)9点が発見。手塚の初仕事と考えられ、12月18日に松竹芸能の劇場、「道頓堀角座」(大阪市中央区)で発表された。
これは、2016年1月9日に逝去した三代目桂春團治の遺品の中から発見されたもので、「自宅(兵庫県宝塚市)の階段の上にあった父の本棚に当時の封筒のまま、見つかった」と、三代目桂春團治次男の河合正次さんが説明した。
会見には、二代目桂春團治夫人の河本寿栄さんも出席され、当時のことをふり返った。「昭和20年ごろは旅芝居で、地方巡業ばかりしてまして、ポスターやビラが必要やということで、絵を描ける人を探していたんです。懇意にしていた写真館の方に紹介してもらったのが手塚治虫さんでした」。松谷孝征さん(手塚プロダクション社長)は、「手塚治虫のお父さんが写真マニアでして、もしかしたら、その写真館ノブナガの方と通じていたかもしれません」と説明。
いずれにしても、ペンではなく筆で描かれたこと、漫画ではなく挿絵として描かれたのもめずらしく、また、当時手塚治虫はまだ、医学生だった。「お芝居には通じてらっしゃいましたが、演目の『明烏夢の泡雪』はご存じなくて、写真を見てもらって描き直しもお願いしました。原稿料を手渡ししたときに『僕は絵を描いて、生まれて初めてお金をもらいました』とおっしゃっていました」と二代目桂春團治夫人は語った。
この小間絵の特別公開は、4月22日より始まる「第18回いけだ春団治まつり」で。また、レプリカの展示は2月26日、「三代目桂春團治追善落語会」が開催される松竹座のロビーにて。
(Lmaga.jp)