三浦大知「積み重ねたからできたこと」

1997年にダンスボーカルグループ・Folderのメンバーとして、女優の満島ひかりらとともにメジャーデビューし、今年20周年を迎えた三浦大知。変声期は喉を守るために一時活動を休止していたものの、2005年にソロデビューを果たし、以降は「歌」と「ダンス」をストイックなまでに追求してきた。今年、1月にはシングル『EXCITE』で初のオリコン1位を獲得、ツアーファイナルの「国立代々木競技場第一体育館」で自身最多となる1万2000人を動員、地元・沖縄で初の凱旋公演・・・と、20年目にして次々とキャリアハイを達成。これまで、歌とダンスのスキルを磨き続けてこられた理由は何なのだろうか。来阪した彼に話を聞いた。

写真/渡邊一生

「『悩む』を『考える』に変えると、すごいポジティブになる」(三浦大知)

──デビュー20周年おめでとうございます。2017年に入ってから、早くも活躍がめまぐるしいですが、9歳から充電期間を経ながらも続けてこられた理由が知りたいです。

「僕、結構飽き性で、歌とダンス以外は全然続かないんですよ。子どもの頃もピアノとか水泳とかいろいろやってたんですけど、あまり好きじゃなかったみたいで続かなかったんです。ゲームもクリアまでたどり着かないとか(笑)。だからそういう飽きなかったものに出会えたってことなのかなって。うれしい出会いだし、ありがたいと思いますね」

──この20年、歌とダンスに取り憑かれたかのように。

「そうですね、もう取り憑かれてますね(笑)。でも、全然ストイックじゃないんですよ。筋肉が付くと歌が良くなくなるという理由なんですけど、筋トレとか食事制限はしないし、基本的には歌って踊って鍛えるのが一番だから、それを続けてきただけなんですけどね」

──以前『ミュージックステーション』に出演されていたときに、タモリさんに「あんなに動いてよくちゃんと歌えるよね?」と言われて、「ホント、それしかしてこなかったので。それしかできないんですけど」と答えてたのが、印象的で。歌とダンスがただ単純に好き、という気持ちで、これまで続けられているのですか?

「好きで楽しいのがやっぱり1番ですよね。もちろん、ただ好きなだけではダメで、この業界で音楽を生業にしていくには、順番が重要だと思ってるんです。たとえば仕事で最初は作るのが楽しくて始めたはずなのに、『売上がどうだ』とか『もっとわかりやすいものを』とか、そういうのってどんな仕事でもあると思っていて。もちろん僕自身もあると思うんです。でもそうなったときに、自分の気持ちの根本として、売るために曲を作るんじゃなくて、頑張ってグッドミュージックを生み出したから売れたっていうことのほうが大切だと思うんですよね。その順番だけ間違わなければ、意外とその『楽しい』に負の気持ちが勝ることってなくて。だから、僕はずっと楽しいっていうのを思い続けていけてるんだと思いますね」

──順番、大事ですね。

「そうなんです。あと、悩むことって大事だと思うんですけど、僕の場合、『悩む』というのは、なんていうのかな、後ろを向いて立ち止まる感じがするんですよね。でも『考える』っていうのは前を向いてる感じがあって。悩むのはどの職業でもあるし、悪いことじゃないんですけど、その『悩む』を『考える』に変えると、すごいポジティブになるんです。しんどくなったり、全然アイデアが出ないってなったときは『考える』に切り替えて、どういう風にしたら面白く見えるんだろう、とか、どうやったら自分が楽しめるかなって工夫したりします」

──なるほど。確かに考え方を変えるとこんなにも違うのか。三浦さんは昔からそういう考え方をしてらっしゃるんですか?

「いや、20歳を超えてからですかね。工夫するのが好きなんです。たとえば部屋の家具の配置がうまく決まらなくても、なんとか工夫して、じゃあここに1個ボックスを買えばすごいきれいな配置になるかも、みたいな(笑)。ダメで終わらせるのがあまり好きじゃないんですよ、なんか負けた気がして。なんでもそういう風にして、前向きに考えるようにしてる。受け身になるんじゃなくて、自分から探すっていうのは好きかもしれないですね」

──そういう前向きな考え方でこれまで続けて来て、今があると。

「国立代々木競技場第一体育館」でのライブとか沖縄凱旋も、ずっとやってきたからできたって感じがするので、あまり自分的にはやってることは変わらないんです。これからもナチュラルに今まで通り積み重ねていけたらいいなぁって思います」

「30歳で、ここからようやくもう1回スタートという気持ち」(三浦大知)

──3月22日に発売された「国立代々木競技場第一体育館」でのLIVE DVDのMCでも、「積み重ね」と「繰り返し」でここまで来たっておっしゃられてたのが印象的で。過去の演出をもう一度進化させたライブ演出や、ツアータイトルの『(RE)PLAY』にもそれが表れてるなって。

「そうですね、でもこのツアーのアイデアは、実は僕じゃなくて。今度のツアーで何をすればいいんだろうって、すっごい考えこんじゃって、KREVAさんとごはんを食べに行ったときに、悩んでるんですよねって相談をしたら、『だいちゃん(三浦)はいろいろやってきたんだから、新しいことじゃなくても、今までやってきたことをもう一回今の三浦大知がやる、ライブのベスト盤みたいなのがいいんじゃないの』って。そうすれば今まで応援して下さってるファンの方も、初めて見に来るファンの方もどっちも楽しめるんじゃないって言われて。あ、ほんとその通りだなって思って」

──おお、KREVAさんが。

「これまで、三浦大知がやるべきことは新しいものを作ることだっていうのに結構しばられて、過去に自分がやってきた積み重ねみたいなものをあんまり見られてなかったんですよね。でもそう言われた瞬間に、あのときの演出を今の自分だったらどうするか、とかいろいろアイデアが湧いてきて。積み重ねたからこそできるっていう三浦大知らしさがあるなということを気付かせてもらって、KREVAさんには助けられました」

──同じく発売されたニューアルバム『HIT』は、自身最高難易度のダンスに挑戦した『Cry & Fight』や、ブレイクダンス世界大会『Red Bull BC One World Final 2016』のテーマソング『(RE)PLAY』、そして『仮面ライダーエグゼイド』のテレビ主題歌『EXCITE』などのシングルに加え、すでにライブでは披露されていた『Neon Dive』や『Hang In There』が収録されています。まさにこれまでやってきたことを表したアルバムになっていますね。

「2016年は例年よりも三浦大知の音楽を聴いたり、パフォーマンスを見てくださることが多かったと思うんですね、そういう機会をたくさんいただけたというか。なので、今まで応援して下さってる方たちはもちろん、三浦大知のアルバムを初めて聴く人もたくさんいるだろうなと思ったので、1個のテーマに絞るよりは、今、自分にHITしてるものをいっぱい詰めこんでアルバムを作れば、間口の広いアルバムになるのかなと。いろんな楽曲が楽しめるので、そのなかから聞いてくれたみなさんになにかヒットする曲があればいいなという気持ちで作りました」

──1曲目の『Darkest Before Dawn』から、全体的に背中を押してくれるような曲が多いなと思いました。これまでの経験とか立場を踏まえてのメッセージもあるんですか?

「今年30歳になるんですが、もちろん恋愛の曲も好きなんですけど、自分が曲を作るってなったときに、人生観を歌うほうが単純にリアルになった気がするんですよね。これまで自分がやってきたこととか、歩んできたこととかを言葉にするほうが、今の三浦大知には合うのかなって思ったんです」

──1番最後の『Hang In There』は和訳すると「頑張って」という意味だそうですね。

「『頑張って』って意味なんですけど、ただの『頑張って』じゃなくて、今の現状に負けるな、踏みとどまるんだみたいな、厳しいときに言う励ましの言葉らしいんですよ。みなさんも日々生きてると、うまくいかないことのほうが多いし、なかなか思い通りにならないこともたくさんある。でもそのなかでも、みんな1日1日頑張って楽しみを探しながら生きてるわけじゃないですか。そういう時に三浦大知の音楽があったから持ち堪えたと、そう思ってもらえる1枚にできたらいいなって思っていて。自分的にはこの曲がアルバムのテーマだなと思ってます」

──今年30歳という節目ですが、これから三浦大知はどうなっていくのでしょう。

「自分は飛び級とかするタイプでもないし、やっぱりコツコツ積み重ねる感じが三浦大知っぽいなって思うんですよね。一歩一歩着実に進んでいくのを、30代も変わらずやっていけたらいいなと。昔から思ってたんですけど、30歳でやっと大人の仲間入りって感じがするんですよ。ハタチでお酒もたばこも法律的に吸えたり飲めたりするけど、やっぱりまだまだ若くて、知らないこともいっぱいあって。良い30代を送るための20代なのかなって思ってたので、ここからようやくもう一回スタート、という気持ちが強いですね。30代めっちゃ楽しいよとか、40代はもう30代の比じゃないくらい楽しいとか、僕の周りの先輩たちがよく言ってて。だからワクワクしてます」

──三浦さんには、これからも「歌」と「ダンス」で世界中の人々を魅了してほしいです。

「これからも歌って踊れる限りはそう生きていきたいですし、そのなかでまたいろんなスタイルを見つけながらそれが三浦大知っぽさになっていくのもおもしろいかな。形を変えながらでも、変わらずにずっと続けていけたらいいなと思います」

(Lmaga.jp)

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