岸田國士戯曲賞は「大阪のおっさんの壮大なコメディ」
「演劇界の芥川賞」と言われる「岸田國士戯曲賞」。その第61回受賞式が、4月17日に「日本出版クラブ会館」(東京都新宿区)で開催。受賞者である京都在住の劇作家・演出家の上田誠が出席し、賞賛を浴びた。
自らが主宰する劇団・ヨーロッパ企画で発表した舞台『来てけつかるべき新世界』で受賞した上田。受賞スピーチで「大阪のおっさんがドローンと戦うというアイディアから生まれて、思ってもいない壮大なコメディになった作品。僕の本には、役者やスタッフの思いつきや事情なども含まれていますけど、この受賞は『このままの道でいいんだよ』と言われたようです。次はモアイコメディやビックリマンコメディなどをやってみたい」と、将来の抱負も含めて感謝を述べた。
戯曲賞選考委員の一人で、特に上田の作品を強く押したという劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)は、祝辞の中で「ギャグの飛躍や展開の読めなさは、相当な努力の上に書き上げられたと思う」と、コメディ作家の先輩として賞賛。また4年前に一足早く同賞を受賞し、上田とも親交が深い劇作家・演出家・俳優の岩井秀人(ハイバイ)もスピーチの壇上に。上田の劇作が、ゲームのプログラミングから影響を受けていることを語っている最中になぜか涙ぐみ始め、場内が戸惑いと笑いに包まれる一幕もあった。
『来てけつかるべき新世界』戯曲本(白水社刊・2160円)は4月21日より発売。また本編以外のおまけ映像も充実した公演DVDは、夏頃に発売される予定。
取材・文・写真/吉永美和子
(Lmaga.jp)