神戸で、版画を超えた横尾流「HANGA」世界

美術家、グラフィックデザイナーとして縦横無尽の活躍を続けてきた横尾忠則(1936~)。彼が手掛けてきた版画作品を、従来の枠を超えた「HANGA」と捉え直し、再定義する展覧会『横尾忠則 HANGA JUNGLE』が「横尾忠則現代美術館」(神戸市灘区)で9月9日からおこなわれます。

横尾が最初に版画を制作したのは1968年です。その契機となったのは、「第6回東京国際版画ビエンナーレ」でポスターとカタログをデザインしたことでした。1970年代前半には楽園や精神世界をテーマにした作品を制作、制作の比重を絵画制作に移す「画家宣言」(1982年)以降も版画制作は続けられました。

1984~86年には女性ボディビルダー、リサ・ライオンをモチーフにした作品を手掛け、1980年代後半には、カラバッジョ、ルーベンス、キリコ、ピカビアなど西洋名画を引用した作品を発表しています。そして1990年代以降は自分の旧作を引用・反復した作品が大きな特徴となっています。

今回の個展では、新作6点を含む横尾忠則の全版画約230点と、これまでポスターと見なされてきた版画作品約20点の計約250点が展示されます。展示方法もユニークで、展示室の壁面を、まるで植物が生い茂るジャングルのように作品で埋め尽くします。横尾作品の今日的意義を検証するのはもちろん、現代版画の未来まで予見する野心的な展覧会です。料金は一般700円ほか。

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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