藤田嗣治のレアな挿絵本展、兵庫・西宮で
20世紀前半のパリで活躍した日本人画家・藤田嗣治(1886~1968)。2018年は彼の没後50年に当たり、関西では秋に大規模な回顧展が予定されています。それに先駆けて「西宮市大谷記念美術館」(兵庫県西宮市)で1月13日から『没後50年 藤田嗣治 本のしごと』展がおこなわれます。
藤田嗣治は1886年(明治19)に東京で生まれました。彼は東京美術学校(現・東京藝術大学)で西洋画を学び、1913年(大正2)に渡仏します。1919年にはサロン・ドートンヌに出品した6点全てが入選し、1920年代には乳白色の肌を持つ裸婦像が高い評価を受け、パリ画壇での地位を確立しました。当時のパリは諸外国からやって来た芸術家が活躍する「エコール・ド・パリ」の時代でしたが、藤田はそのブームの中心にいたのです。
当時のヨーロッパでは挿絵本の人気が高まっており、藤田も積極的に挿絵本を手掛けました。1920年代には30冊以上も出版しており、当時の人気ぶりが窺えます。本展では、戦前のフランスで発行された藤田の挿絵本、彼が日本で手掛けた1930~40年代の出版の仕事、1950年(昭和25)にフランスに移住した後の大型豪華本の挿絵などを展覧します。また、油彩画や版画、友人に送ったはがき、絵手紙、手作りの玩具なども紹介し、挿絵本以外の幅広い活動にも言及します。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)