アイヌ文化を継承 大阪の国立民族学博物館で木彫家の展覧会

木彫りの熊に代表されるアイヌ工芸から出発し、やがて北海道を代表する木彫家となった藤戸竹喜(ふじとたけき/1934~)の業績を紹介する展覧会が、「国立民族学博物館」(大阪府吹田市)で1月11日からおこなわれます。

藤戸は、旭川を拠点に「熊彫り」を生業としていた父・竹夫の下で、12歳から木彫を始めました。1964年に阿寒湖畔に民芸品店「熊の家」を建てて独立。1969年には依頼を受けて「樹霊観音像」を制作し、正徳寺に納めました。以降、注文制作が増えるようになり、展覧会も、北海道立近代美術館や米国スミソニアン協会国立自然史博物館の企画展に参加するなど、国内外で活躍しています。

彼の作品には、熊や狼、ラッコといった北の動物たちをモチーフにしたものと、アイヌ文化を伝承してきた先人たちの姿をテーマにしたものがあります。それらに共通するのは、繊細さと大胆さの共存、生命あるものへの深い愛情、卓抜したイメージ・構想力でしょう。そして他の追随を許さない生気溢れる写実表現が、彼の作品を唯一無二のものにしているのです。

本展では、動物たちの俊敏な動きを捉えた初期作品から、民族の歴史と威厳をモニュメンタルに伝える等身大人物像まで約90点を紹介し、藤戸の約70年にわたる創作活動を振り返ります。一部の作品は触ることもでき、木彫の魅力を手で味わえるのも嬉しい所。北海道まで行かずとも藤戸ワールドを満喫できる貴重な機会です。

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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