『まんぷく』で福子・萬平を支えた真一を快演、大谷亮平「62歳演じる役作りが楽しい」

2018年10月からスタートし、いよいよ佳境を迎えるNHK連続テレビ小説『まんぷく』。インスタントラーメンという世紀の発明品を生み出した夫婦を献身的に支えるのが、大谷亮平演じる小野塚真一だ。 「絶対的に良い人」真一は朝の清涼剤なわけだけど、演じる大谷は彼をどう見たのか? 「人の幸せを優先する真一はすごく良い人に映るかもしれないけど、実は、そこにすがっていたのだと思う」と語った大谷。キャラクターの深層心理を理解しようとする大谷の真摯な姿勢が、インタビューから見えてきた。

取材・文/廣田彩香 写真/中村 泰

「僕以上に視聴者のほうが真一のことを心配してくれている」(大谷亮平)

──昨年の10月から放送が開始され、ついにラストエピソードに突入する『まんぷく』。まずは出演が決定したときの心境をお聞きしたいです。大谷さんにとって「朝ドラ」とは、どんな存在だったのでしょうか?

実は韓国にも朝ドラってあるんです(※大谷は2003年から13年間、韓国を拠点に活動)。しかも日本とテイストが似ている。女の子ヒロインで、老若男女に向けた家族の物語が多い。同じく公共放送が制作しているし、キャストも多く放送期間も長いです。そんな韓国の朝ドラに僕、出演していたんですね(2012年の『ボクヒ姉さん』)。それも、長女のダンナさんという役で(笑)。

──なんと役柄まで似てる! それは運命めいたものを感じませんでしたか?

「運命」というより、驚きのほうが大きかったですね。まさか、という感じです。もちろん韓国にいても日本の朝ドラ人気は知っていましたから、2016年から日本での活動をはじめた僕がこんなにも早く出演できるだなんて、と。

──演じる小野塚真一という男性がまた、深みのある人ですよね。

はじめて台本をもらったときの真一の印象は、堅物・真面目・寡黙。そして心の内も見せない男。どっちかというと僕は、そういう方ってとても信頼感があるなと思うんですけど、このミステリアスな人がどのように物語に関わっていくのか興味が湧いたし、ちょっとニヤッとしてしまうぐらい「あぁ、この役やりたいな」と思わされました。実際放送されると、何か企んでいるんじゃないかとか、すごく冷たそうに見えたとか、そういった声が多かった。この「フリ」が効いたというか、物語が進むにつれて真一が変化していく様を、みんな楽しんでくれるようになりました。

──そうなんですよね。真一という人間に色が差してくるというか、あたたかみが出てきますよね。

真一はターニング・ポイントとなる出来事が多い。妻である咲(演・内田有紀)に先立たれた後、戦争を経験しますしね。

──大谷さんはそのときの真一の心情を「戦地に出向いて死ぬつもりだったんじゃないか」と読み解いたそうですが。

証券会社で働き、愛する奥さんと生活をする。その幸せのすべてだった咲が死んでしまったことによって、ドラマでは描かれてはいないけれど、彼は自暴自棄になったのだろうと。そんななかでの召集令状です。これで咲のもとに行ける…そんな感情を抱いたんじゃないかと僕は思ったんです。福ちゃん(安藤サクラ演じる主人公・福子)と会ったときも、ドーン・・・と落ちているというよりは、「やっと咲が呼んでくれたよ」という感じのテンションで僕は演じました。

──台本にはない真一の心情を、深くまで読み解く作業をされたんですね。戦争から帰ってきてからの真一は、萬平(長谷川博己)と福子夫妻をふくめた立花家に深く関わっていきます。しかも、無償の愛を捧げるようなやり方で。その行動原理は何だと思われますか?

戦争から生きて帰れたという状況が、あまりよく分かってなかったんじゃないでしょうか。真っ白な状態ですよね。だからこそ自分の知らない世界を生きる人たちが輝いて見えたと思うし、その人たちの幸せを優先することが自分の生き甲斐になった。手伝うというか、仲間に入れてもらった、ですね。外から見たら真一がいろいろと助けている、すごく良い人として映るかもしれないですけど、それは逆で。萬平さんたちから真一は生き甲斐をもらっていたんです。「そこにしかいま生きる理由がないなぁ」と。すがっていたんでしょうね。

──そんな真一が、ついに自分の幸せを考えることになる。好美(東風万智子)との再婚は、やっぱりグッときました・・・。

初めて真一が自分発信でコトを進めましたよね。そこから萬平に会社を作ろうと持ちかけたり、やっぱり好美との出会いが原動力になったんだと思います。

──本サイトでは『まんぷく』の全話解説を掲載しているんですが、真一の再婚話が持ち上がった第99回を「義兄・真一に春到来?」というタイトルでアップしたら、アクセス数が爆上がりしたんですよ!

いやぁ、うれしい・・・。僕以上にみんなが真一のことを心配してくれているんでしょうね。いつの時代でもみんな良い人が好きなんだなぁ。

「真一さん、アツくなってきました! なんて言われて」(大谷亮平)

──2月の最終週では、みんなが苦労して完成させた「まんぷくラーメン」のニセモノが世に出まわり、あんなに寡黙だった真一さんが怒りを爆発させます。初期の頃とはずいぶんと印象が変わる人物でもありますよね。

すごく真剣に取り組んでいるものに対して邪魔が入ったとき、真一は生真面目な人間なので人一倍、火がつきやすい。演じていて楽しかったです。台本読みのときも、スタッフから「真一さん、アツくなってきました!」なんて言われて(笑)。難しい役ではあるんですけど、今回のこの真一という役は技術ではなく気持ち発信で演じることが多かったです。僕は今までも気持ちを優先することが多くて、とはいえそれでも迷いながら役を模索するんですが、『まんぷく』の現場では本番の合図が出たら気持ちが乗ってポンッと表現できた、みたいな感じなんです。

──その「ポンッ」とお芝居が出てくる感覚って、大谷さんご自身はなぜだと思いますか?

なんでだろうなぁ。僕は真一のように他人優先で生きている人間ではないので、やっぱりなんでこうなったのか、なんでこんな行動をとったのか、それを考えるしかない。すると、理解できなかったことってなくて、真一のとる行動が納得できた。そうやって真一としての気持ちを作る準備がちゃんとできていたから、現場で迷うことなく演じられたのかな。

──3月に入ると、いよいよカップ麺という次なる発明品の物語が始まりますね。大谷さんは全編を通して30歳から62歳までを演じられるわけですが、こういった経験は初じめてでしょうか?

そうですね。いまの自分の年齢を超えたあたりからは想像の世界になる。それを自分のなかで作っていく作業というのは、非常におもしろかったですね。60代の人って、立ってるときに胸張るよなぁ、とか、校長先生みたいに手を組むよなぁと。やりすぎない程度に、でもちょっとおじさん臭い感じを意識的にやりました。実はヒントになる人がいて、それは親戚のおじさんなんですけど。穏やかなしゃべりかたとか、怒るときでさえやわらかくてあったかい感じとかは、おじからヒントを得たものです。

──『まんぷく』はNHK大阪放送局内にあるスタジオでの撮影が多いそうですね。大谷さんは大阪のご出身ですが、プライベートでも地元を満喫されましたか?

同級生とご飯を食べに行ったり、そういう時間は結構ありましたね。放送局と通っていた高校が近いので、母校にも顔を出しましたね。僕、バレーボール部だったので、一緒になって練習させてもらったり。現役部員たちには元気をもらったし、いい時間が過ごせましたね。

──撮影がはじまる前、ちょうど姪っ子さんが生まれて。実家から撮影所に通うか、いやいや、姪っ子さんとつい遊びすぎてしまうから実家はキケンかも、と悩んだそうですが。

迷ってました(笑)。でも実家には結構、帰ってますね。2週間に1回ぐらいは帰ってるんじゃないですか。それでも2週間空いたら、姪は不思議そうに僕を見るんですよ。「知らない人が来た・・・」って、忘れられちゃうんですよね。

──ところで、撮影前に必ずやることってあったりしますか?

毎日、新しいものが送られてくる姪の動画を必ず1日1回は観てますね(笑)。

(Lmaga.jp)

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