幻の五新鉄道、奈良で国鉄時代の遺産に触れるイベント
かつて国鉄が奈良で計画し、未成線となった幻の鉄道「五新鉄道」。その旧城戸駅(奈良県五條市)で17日、イベント『幻の五新鉄道で君のミニ列車を走らせよう』が開催される。
奈良の特産品である吉野杉などの木材を輸送する目的で、五條市から十津川村を経て、和歌山県新宮市まで紀伊半島を縦断する(総延長120km)という壮大な計画で構想された本鉄道。昭和12年(1937年)に建設が着手され、昭和34年(1959年)には五條駅から現在の五條市西吉野町城戸まで路盤が完成した。
しかし、国鉄再建法の施行による地方赤字ローカル路線の廃止が打ち出されたことで工事は中止に。列車が走ることなく廃線になった。壮大なロマンを持つ「五新鉄道」と、大構想にかけた先人たちの想いを多くの人に知ってもらいたい、と始まった同イベントは今年で6回目。五新線の城戸駅跡地に設置された1000メートルの木製レールなどに、持参したおもちゃの列車を走らせることができて、子どもや鉄道ファンに大人気だ。
五條市役所西吉野支所の中窪さんは、「通常は封鎖され立ち入りできない五新鉄道跡。その魅力に触れてもらえれば」と話す。当日は、幻の新宮行き切符の発行やJR関連グッズ販売、ボンネットバスの運行、乗用5インチ列車乗り放題などがおこなわれ、串こんにゃく、鹿肉、猪肉など使ったジビエ料理などを販売する五新線商店街も出現する。時間は昼11時から3時まで、木製レール走行受付は2時半まで(料金500円)。
文/いずみゆか
(Lmaga.jp)