京都で国際写真祭、国内外の作家が集結、さまざまな表現を体感できる
京都市内の歴史的建造物や近現代建築を舞台におこなわれる『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2019』が4月13日より開幕。「VIBE」をテーマに、11会場で15のメインプログラムがおこなわれている。
国内外の作家の写真作品を、京都ならではの趣のある空間で見られることから、高い評価を受けているこの写真祭。今年の会場は地下鉄烏丸御池駅周辺と祇園界隈に集中しており、歩いて巡ることができる。
今年のテーマ「VIBE」は、我々の感性を研ぎ澄まし、自身の内に眠る何かを覚醒させてくれる感動、我々を新たな世界に導いてくれる共振・共鳴といった意味合い。人間や自然の美を捉えたもの、ユーモアや皮肉に満ちたもの、現代の社会問題を訴えるものなど、さまざまな表現がそろっており、写真表現の多様性と奥深さを体感できる。
どの展示も見応えがあるが、なかでも「京都文化博物館 別館」(京都市中京区)の『アルバート・ワトソン』と「京都新聞ビル印刷工場跡」(京都市中京区)の『金氏徹平』で、点数の多さやスケール感で抜きん出ている。
「Y gion」(京都市東山区)の『彼女、私、そして彼らについて』は3人のキューバ人作家が紹介しているが、とりわけ興味深いのはチェ・ゲバラの肖像写真で知られるアルベルト・コルダのファッション写真と記録映像だ。トリッキーな諧謔(かいぎゃく)性を楽しみたいなら「嶋臺ギャラリー」(京都市中京区)の『ヴェロニカ・ゲンシツカ』、日本建築との対比なら「両足院(建仁寺内)」(京都市東山区)の『アルフレート・エールハルト』が素晴らしい。?
とはいえ、どの展覧会を見るかを楽しむのも、この写真展ならでは。事前に公式サイトでチェックして、自分なりの理想の写真祭を作り上げてほしい。期間は5月12日まで、料金はワンデイパスポート3000円ほか。
取材・写真/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)