新聞テレビ欄の「タテ書き」はどう作る?TV局Pに聞きました
ヨコ書きの新聞テレビ欄をタテに読んだとき、隠されたメッセージが浮かび上がる「タテ読み」。スポーツの国際大会にちなんだ「日本ガンバレ」や、お正月特番に「新年おめでとう」など、気づいた人を楽しませてくれるが、その作り方はどうなっているのか。本日17日の新聞にタテ読みの番組紹介を寄せたMBS(毎日放送)・木村プロデューサーに話を伺った。
──木村さんが作ったのは、本日(17日)夜6時から放送の「阪神VS広島戦」紹介文。「ぶち破れ!オレがヤル矢野阪神優勝」というメッセージをこっそりと込めたわけですが、今回、なぜタテ読み原稿を作ったんですか?
木村さん「実はこの『タテ読み』をはじめたのが、系列局であるHBC(北海道放送)の方で、関係者の間でもよく話題になっていました。しかし、普段担当するデイゲームだと、放送時間の関係で紹介文が4行くらい。タテ4文字ではインパクトがないと諦めていたんですが、今回は放送枠が夜6時から夜10時まで。タテの文字数もたっぷりあるので、チャンスだと思って」
──放送時間が長いほど「タテ読み」は見栄えがすると。16文字もある今回の原稿は、どうやって考えたのでしょうか?
木村さん「まず決めたのは左の言葉(タテ)です。まずは矢野監督の掲げたスローガン『ぶち破れ!オレがヤル』は絶対に入れたいなと。それから大阪の局として、阪神に優勝してほしい思いを込めて『矢野阪神優勝』で締めました。(行数の短い一部の新聞では、『ぶち破れ!オレがヤル虎優勝』に)」
──では、先に決めたメッセージに合わせて、ヨコの文章を考えていく・・・かなり難しそうですね。
木村さん「そうなんです。『ぶち破れ』の『ち』はどうしよう、とか、タテの文字に対応する単語を考えていきます。ただ、『ち』から始まる言葉ってあんまり無くて」
──ちなみに、一番難しかった文字はどれでしたか?
木村さん「なかなか単語が思いつかなかったのは、『オレ』の部分ですね。いまタイガースに所属する外国人選手だと『バルデス』とか『ドリス』とか、オ・レが入った選手がいない。それで、『オやったらオリックスがあるな、じゃあ西選手(2018年、オリックスから阪神に移籍)か?』と」
──そこからはスムーズに?
木村さん「タテ書きを作りつつ文脈もしっかり作る、っていうところも難しくて。西が投げて、ルーキーも活躍して、あとは相手チームの選手の話もして・・・と、予想される試合展開を盛り込みました」
──「神ってる鈴木(広島カープ・鈴木誠也選手)をドリスが抑え~」の部分などですね。前提として、番組の情報を伝えないといけない。
木村さん「はい。両チームのなかで調子の良い選手の名前だったり、広島・阪神の両チームで4番をつとめたことのある新井さんが解説するという情報もしっかり盛り込んでいます」
──この原稿を書くのに、どのくらいの時間が掛かったんですか?
木村さん「ずっと集中して書いたというより、いろんな作業をしながら。周りのスタッフに『ちから始まる単語、何かない?』と聞いたりしつつ、合計3時間くらいで書きました。スタッフたちに見せたら「おお、ええやんええやん!」と良い反応だったので、読者からも反応があるかどうか楽しみです」
──注目されるといいですね。では最後に、番組放送への意気込みを。
木村さん「18時から22時まで、ナイターの試合をほぼ放送できるっていうのはMBSで年に1回か2回くらいのチャンスです。調子も上向きの両チームの試合を、見所もたっぷり全てお届けできると思います」
プロデューサーによる、選手たちへの期待が込められたタテ読みの紹介文。この原稿は、17日の新聞朝刊(朝日新聞、毎日新聞など)に掲載される。番組は夜6時15分から22時まで、毎日放送で放送。
(Lmaga.jp)