神戸で横尾忠則流「美術」と「笑い」の展覧会、狂言の上演やトークも
画家でグラフィックデザイナーでもある横尾忠則。彼の作品に見られる「笑い」の要素に着目した展覧会『人食いザメと金髪美女 笑う横尾忠則』が、「横尾忠則現代美術館」(神戸市東灘区)で、5月25日からおこなわれる。
横尾作品の「笑い」とは何なのか。本展では3章仕立てでその考察がおこなわれる。「仕組まれた謎」では、同一画面に共存する謎めいたイメージに着目する。それは、緊張感ある画面に異物を挿入することで生じる滑稽さや、弛緩的な要素が笑いを誘うということである。
一方「挑戦する笑い」では、アンリ・ルソー、ルネ・マグリット、ポール・デルヴォーなど、過去の巨匠の作品を引用した作品が登場する。そこでは引用元の作品世界が横尾流に換骨奪胎され、観客は違和感の正体を探しながら美術史を旅するのだ。
そして「伝統と創造:スーパー狂言」では、2000年に上演された「ムツゴロウ」と、2003年上演の「王様と恐竜」の装束や舞台衣装を展示(どちらも原作は梅原猛、演出は二世 茂山千之丞)。狂言にのっとり物語に忠実でありながらも、従来の形を絶妙に外したそれらからは、横尾、梅原、茂山のまじめな遊び心がうかがえる。
また、7月13日には狂言師の茂山七五三、茂山千之丞、鈴木実を招いて、狂言「附子」の上演とトークショーを開催(先着100名、参加無料)。美術展と狂言を同時に見られるまたとない機会なのでお見逃しなく。展覧会の期間は8月25日まで、料金は一般700円。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)
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