かわいくておしゃれ、現代に通じる古伊万里展、兵庫・篠山で
伊万里焼のなかでも江戸時代に生み出された「古伊万里」の名品を紹介する『恋する古伊万里』展が、「兵庫陶芸美術館」(兵庫県丹波篠山市)で開催中だ。
伊万里焼は17世紀初頭に生み出された日本初の磁器。生産地は肥前有田(現在の佐賀県西松浦郡有田町)だが、伊万里港から各地に積み出されたことから「伊万里焼」と呼ばれた。初期の作品は中国陶磁にならった意匠だったが、徐々にオリジナリティを確立。余白を生かした構図、富士や流水、紅葉などの風景、和歌にちなんだ主題など和様の意匠が見られるようになる。
また、伊万里焼は17世紀中頃からオランダ東インド会社により海外に輸出され、ヨーロッパの王侯貴族にも愛された。18世紀中頃には国内の販路を広げ、19世紀には江戸の屋台や旅籠などで、料理とともに供される趣向を凝らした多種多様な器が用いられている。
本展では、柴田明彦・祐子夫妻によって蒐集され、「佐賀県立九州陶磁文化館」(佐賀県西松浦郡)に寄贈された約1万点の「柴田夫妻コレクション」と、同館所蔵の優品から124点をセレクト。古伊万里のかたち、文様、構図に着目し「かわいい」「粋」「おしゃれ」という3つのキーワードをもとにその魅力に迫る。期間は9月29日まで、料金は一般600円。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)