苦労を乗り越えた女優・ソニン、次世代に繋ぐワークショップ
日本のミュージカル界を支えるひとりとして活躍する女優・ソニン。そのキャリアはアイドルから始まり、これまでの道のりには苦労が絶えなかったという。今彼女は、数多くの舞台に上がる傍ら、若手俳優を指導している。その真意はどこにあるのだろう。
2000年にダンスボーカルユニット「EE JUMP」でデビューするも2002年に解散し、ソロとなったソニン。舞台活動は2004年から取り組み、オーディションを経て『スウィーニー・トッド』(2007年)でミュージカル初出演を果たし、翌年には『ミス・サイゴン』に出演する。しかしその後は代表作に恵まれず、自身も「切羽詰まっていた」と振りかえるほど追い込まれていたという。
そんな2012年12月、『文化庁新進芸術家海外研修制度』でアメリカ・ニューヨークへの留学が決まる。それは芸能活動を1年半、休止するという大きな決断だった。周囲からはブランクを懸念する声が広がったが、「仕事がなくなってもいいや」という強い気持ちで渡米。ニューヨークでは、演劇学校やワークショップ、オーディションを体験した。
その帰国後の活躍は目覚ましく、話題作に次々と出演。2015年に『第41回菊田一夫演劇賞』を、2018年には『第26回読売演劇大賞優秀女優賞』を受賞し、ようやく「世間にも演劇界のみなさんにも、演劇界の役者として認められたのかな」と、自信へと結びついたとという。
今、ソニンは留学経験を活かしてワークショップを開き、後進に演劇を教えている。「ニューヨークや韓国では現役の俳優が教えています。現役でやっている表現者が何を教えられるかと思って・・・」と、自問自答しながらの講義だ。
しかし指導する若手たちは、ちょっとした一言で見違えるように変わるという。「そこまでハイレベルなものではありませんが、若い俳優さんは演劇を何も学ばずに現場に行くことが多い。そうすると現場のレベルがバラバラになるので、それをある程度まで引き上げたいという思いもあります。技術云々よりも現場で学べることを伝えたい」と、次世代への指導に意欲を見せた。
実は、事務所からの提案だったというこのワークショップ。「ニューヨークでやってきたことが、ある意味で評価されたと思うとうれしい」と、努力が実ったことに笑顔を見せる。感動や受け止め方は人それぞれ、芝居には正解がない。「教える上でそこがすごく難しい」と話すも、その瞳はキラキラと輝いていた。
彼女の最新舞台は、自由を求めて闘った女性たちを描いたミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』。19世紀半ば、女性の権利を求めて労働争議を率いたサラ・バグリーと、彼女とぶつかり合いながらも固い友情を結ぶハリエット・ファーリーらの物語で、ソニンは、編集者として女工たちの憧れの的であるハリエットを演じる。
取材・文/岩本
(Lmaga.jp)
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