「素朴絵」ってなに? あの尾形光琳も描いた、ゆるすぎる日本画が京都に集結
決して上手くはない、ゆるいけど、そこが愛おしい・・・。それらを「素朴絵」と名付けて紹介する展覧会が「龍谷大学 龍谷ミュージアム」(京都市下京区)で9月21日からおこなわれる。
本展には、さまざまな時代、ジャンルの作品98件が登場。『つきしま絵巻』は、平安時代に平清盛が大輪田泊を造成する際に人柱を立てた伝説に基づいている。実は悲惨なエピソードなのに、絵巻の世界はとてものどかで、まるで遊んでいるようだ。
また『かみ代物語絵巻』は人物のポージングがいびつで、寸詰まりの龍がブサかわいい。『大津絵』は江戸時代に旅の土産物や護符として人気を博したもの。禅僧の白隠や木喰、琳派を代表する絵師の尾形光琳は教養のある人物だが、そんな彼らも素朴な風合いの作品を残している。
人間とは不思議なもので、超絶技巧や高尚な思想に基づくハイアートを崇拝する一方で、どこか間の抜けた表現にも心を惹かれてしまう。現代の「ゆるキャラ」や「ヘタウマ」はその最たる例であろう。ハイアートが上から目線で教条的なのに対し、素朴絵は自分と同格に感じられ、遠慮なくいじれるのが良いのかもしれない。仕事、子育て、学校などでストレスをため込んでいる人に、ゆる~く楽しめる本展をおすすめしたい。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)