じわじわ勢力拡大で大阪にも上陸、笑って楽しむ「地味ハロウィン」って?
派手なメイクやコスプレで仮装を楽しむ昨今のハロウィンに、「あんな仮装は自分の性に合わない」「興味ないかな・・・」と、横目で見ている人も多いのではないだろうか。そんな「ハロウィン苦手族」も楽しめる、その名も『地味ハロウィン』が今じわじわとキテいるという。
◆そもそも『地味ハロウィン』って?
『地味ハロウィン』とは、「どこかにいそうなあの人」や「みんなが知っているあのシチュエーション」といった、とにかく「地味」な仮装を楽しむハロウィンイベントのこと。某バラエティ番組の『細かすぎて伝わらないモノマネ』のような世界といえば、おわかりいただけるだろうか。
生みの親は、ポータルサイト『デイリーポータルZ』を運営する林雄司さん。「ハロウィンが流行してきて、巷に派手な仮装をする人が増えました。ですが、波に乗れずに混ざりたいけど混ざれない『地味な人』も多いと思うんです。そんな人のためのハロウィンを、2014年に阿佐ヶ谷のスナックで開催したら、地味なんですけど面白くて(笑)」。2018年には参加者が800人を超えた。
そのルールはカンタン。
・通常はコスプレの対象になってないコスチュームを着てくる
・説明されてようやく分かるものでもOK
といったゆるいもの。ひとつだけ制限があるとすれば『仮装によって誰かを傷つけないこと』だ。誰もが知っている有名人でもいいし、隣人でもいい。もはや、人じゃなくてもいいという。
これまで登場したのは、「区役所で戸籍出してくれる人」「駐車場を整備する人」といった「ああ~、いるいる!」と共感するものから、「暑いのか寒いのかわからない人」「操られている人」など「どんな設定やねん!」とツッコみたくなるものまで、まさに多種多様。自分の人生のなかで出会った思い出の人やみんなが知っているあの人に、こっそりなりきる楽しさがある。
◆大阪にも上陸。地味ハロウィンが増えた理由
そんな地味ハロウィンが今年、いよいよ大阪に初上陸。そのほか、北海道、鹿児島、台湾にまで進出する。地味ハロウィンが各地で急増した理由は今年8月に『デイリーポータルZ』で「」という記事を出したことがきっかけだ。
これまで、「地元で地味ハロウィンを開催したい」という問い合わせが来ており、全国でいろんな人が楽しめるように地味ハロウィンの名前を独占せず誰でも使えるようにしたのだという。なんとも太っ腹な姿勢に感銘を受ける。
大阪の地味ハロウィンは10月26日に難波のバー「イベントバーエデン難波」(大阪市中央区)、31日に南森町のバー「週間マガリ」(大阪市北区)などさまざまな場所で開催。林さんは、「地味ハロウィンは、狭いコミュニティでこそ生きると思う。地域性やコミュニティの特徴が反映された仮装がでてくるのでは」といい、「笑いにかける情熱がすごい大阪。普段も街に題材となる人がたくさんいそうなので、どんな仮装が生まれるか楽しみ」と期待を寄せる。
魔女やゾンビ、アニメキャラなど派手なコスプレにはお金や準備時間がかかるけど、地味ハロウィンは「発想力」だけでOK。なおかつ笑いもとれる・・・これはもしかすると、関西向きなのかもしれない。
取材・文/小田切萌
(Lmaga.jp)