新型コロナで存続危機のカフェ、アーティストらが支援に動く
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発令により営業がままならず、窮地に追い込まれている店舗の数々。そのなか、ある策を講じた大阪のカフェを支援しようと地元のアーティストらが応援を呼びかけている。
「アーティストが集まるカフェ」を掲げる「ボダイジュカフェ」(大阪市北区)は、2000年に吹田市でオープンした後、2007年に現在の場所に移転。
店主の仲村伊太利さんが元芸人だったことから、当初は自ら店内でコントライブを開催したが、仲間らの口コミから今ではイベントのできるカフェとして定着したという。
イベント会場として何度も利用してきたという俳優の川下大洋さんに話を訊いた。
「私にとってボダイジュカフェは、作・演出をさせてもらったタニマチ金魚の公演『爆弾とカフェ』(2011年)の会場として、たまたまネットで見つけたのが出会いでした。おしゃれでノスタルジックな開放感に満ちた店内は、照明機材などなくてもそのままで演劇にとって最高の舞台セットです」
「その後も私は、エセ科学イベント『ドナインシタイン博士の禁断カフェ』やトークイベント、故・牧野エミさんを偲ぶ会、私が昔所属した『劇団そとばこまち』の同窓会などをここで開き、何度もお世話になっています。関西の演劇の中心地であった『扇町ミュージアムスクエア』跡地に隣接する立地も、我々の心が集まる場所としてとても重要です」と、同店への思いを語る。
しかし、そんな営業スタイルがこの緊急事態で仇となる。仲村さんによると、「売上の6~7割がイベントによるもの。週末はライブやパーティ、街コンの企業さんも入ってました。それがコロナの影響で徐々に減り、2月に北区のライブハウスでクラスター発生が報道された次の日からはキャンセルの電話が鳴り止まなくて・・・」と説明する。
そこで取り組みを検討したのがクラウドファンディング。「売上の3割のカフェだけでは賃貸料を払うのさえ厳しくて、2~3カ月で維持できなくなる。ツイッターで閉店を免れない状況を報告したところ、つながりのあるアーティストさんからアドバイスをいただいて」と、収束後の会場利用権やランチ回数券・コーヒー回数券のほか、支援を申し出たアーティストらによるコラボグッズなどが支援のリターンとして用意された。
そのなかのひとり、『100日後に死ぬワニ』が話題を集めたイラストレーターのきくちゆうきさんもコラボグッズを提供。「イタリー(仲村)さんと出会い、イタリーさん主催のイベントに出て、そこから色んな繋がりや広がりがありました。大事なのは続けることです。ボダイジュカフェはこれからも、出会いや繋がりの場所として続けていってもらいたいです。またオムライス食べに行きたいです!」とコメントを寄せた。
するとすぐさま支援が集まり、約2週間で設定金額を達成。しかし喜んだのも束の間、「想定以上に状況が悪化していて。外出制限や非常事態宣言が出たことでカフェの売り上げもガタ落ちで、3割の予定が1割程度になった。週末はほとんどお客さんが来なくて、いまは出前やテイクアウトを始める準備をしています」と、いまだに気が抜けない状況だ。
「もともと3~4カ月分のイベント売上を補填する設定でしたが、いまでは年内いつ始められるのか、いつ収束するのかわからない・・・」と不安な声で話す仲村さん。現在も引きつづきクラウドファンディングを続けており、前出の川下さんは自身のファンや関係者らに向けて同カフェへの支援を呼びかけている。
川下さんからのメールには、「大阪から遠い方にもこのメールを送っています。大阪にこんなにいい場所があるということを教えてあげたいし、そんな方もぜひ、我々が活動の場を失わないために、ご協力いただけないでしょうか」と思いが込められている。
川下さんに改めて同カフェへの思いを訊ねると、「多彩なイベントの場となるボダイジュカフェは、すべてを暖かく受け入れてくれるオーナー・仲村伊太利さんの人柄が支えています。アーティストやプレイヤー、ひいてはオーディエンスを支えたいという彼の思いに、今度はこちらが応えてあげたいと強く願っています。なくなってしまったら取り返しがつきません。秋以降も自粛の波が続けば再びピンチが訪れます。みなさんの思いが届きますように」とエールを送った。
(Lmaga.jp)
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