高額運賃の神戸・北神急行、念願の市営化で半額に「国交省も前例ないと驚いた」
神戸市営地下鉄「新神戸駅」と神戸市北区の玄関口「谷上駅」を結ぶ私鉄「北神急行」が、6月1日から市営化。「神戸市営地下鉄 北神線」となることにともない、谷上~三宮間の片道運賃が550円から280円と半額近い値下げが実現する。
北神急行は、新神戸~谷上間の1区間のみで1988年に開業。市営地下鉄と相互乗り入れし、「谷上駅」から「三宮駅」まで約10分で行けるようになった。
「谷上駅」は別の私鉄「神戸電鉄」と接続しており、有馬温泉や三田方面へ向かう神戸北部のハブ。同線の開通で神戸北部から市街地へのアクセスは飛躍的に良くなったが、ほぼすべてがトンネルで工事費が莫大であったことから、運賃の高さが利用者に大きな負担を課していた。
神戸市の久元喜造市長は5月28日の定例会見で、「(2013年の)市長就任時から、運賃引き下げが必要だと思っていた。保有者である阪急電鉄と交渉を続け、市営化による値下げに至った」と説明。
また、「鉄道運賃値下げは珍しく『半額近くにまで下がる例は今までにもなかった』と国交省の担当者も驚いたと聞いている」と話した。
住民の利便性向上を図るのはもちろんだが、「有馬温泉や、茅葺き民家の残る里山地域がもっと近くなる」と観光にも生かす方向性を示した久元市長。
「コロナウイルスの影響で、観光はしばらく国内旅行が主軸になるだろう。これを機に神戸北部が新たな魅力を獲得できれば。今までは観光バスで直接、有馬温泉を訪れる観光客が多かったが、今後は、個人客が三宮経由でのんびりと旅を楽しむスタイルに地下鉄北神線を活用してもらえれば」と語った。
併せて、同市は神戸市内のデザイナーやクリエイターを対象に、里山と有馬のキャッチコピーとデザインを公募すると発表。最優秀賞には30万円を贈呈し、コロナ禍で仕事が減少したクリエイターを応援したい考えだ。
取材・文・写真/合楽仁美
(Lmaga.jp)
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