劇場再開のきっかけは、非常事態宣言中におこなわれた三谷作品のリモート朗読
新型コロナウイルス感染拡大防止のため休業していた「サンケイホールブリーゼ」(大阪市北区)が、7月に『桂米團治独演会』で劇場公演を再開。そのきっかけとなったのは、緊急事態宣言中に三谷幸喜や近藤芳正、西村まさ彦らが実験的にリモート配信したある作品の存在だという。
6月22日におこなった会見で、同劇場を運営する「ブリーゼアーツ」の大竹正紘代表は、「定員が従来の半分である412席になるなど、劇場再開の条件はかなり厳しいですが、それでも多くの来場者を迎える劇場の使命を考えると苦境にあえいでばかりではいられなかった」と説明。
「劇場は人が集まってこそ。船を動かさないと我々も劇場人として終わってしまう」と危機感も募ったと続け、米團治と何度も話し合って再開に踏み切ったという。
そんななか、米團治のやる気に火をつけたのは、5月6日にZOOMを使って生配信された『12人の優しい日本人を読む会』だったという。同作は三谷幸喜が主宰した劇団・東京サンシャインボーイズの代表作で、当時の出演者が中心となって朗読劇を配信し、多くの反響を集めた。
同作を観劇し刺激を受けたという米團治。「最初はセリフの読み合わせの稽古みたいでしたが、どんどんお芝居になっていく。お芝居の原点ってこうだったのかなと思いました。役者魂を見せつけられましたし、役者さんがこれだけやっているのに、たったひとりでできる噺家がさぼってどうすんねん!」と、一念発起したと明かした。
これに影響を受けて、7月23日におこなわれる『桂米團治独演会』では初の試みとして有料生配信も実施(2500円)。劇場でのチケットはS席4500円、A席4200円(6月28日発売)。なお、サンケイホールブリーゼでは8月以降、徐々に主催公演を復活していく予定だという。
取材・文・写真/岩本
(Lmaga.jp)