注目の若手画家・田中秀介を起用、和歌山近美の「なつやすみの美術館」
「和歌山県立近代美術館」(和歌山県和歌山市)で毎年夏におこなわれる企画展『なつやすみの美術館』。夏休みに誰もが美術を楽しく体験できる展覧会として開催され、今年で10回目。「あまたの先日ひしめいて今日」と題し、和歌山出身の新鋭画家・田中秀介をゲストに迎え、7月11日よりおこなわれる。
田中秀介の作品は日常的な風景から着想し描かれている。絵のなかでは何かおかしなことが起こっているように見えるが、実際はごく日常的な風景や出来事を独自の着眼点で切り取っているのだ。物事は切り取り方次第でいかようにも見える。大事なのはあなたがそれを自覚しているか否か。そんなメッセージが聞こえてくるようだ。
また彼の作品はタイトルが変てこで、独特の文体で名付けられている。なかには理解に苦しむタイトルもあるが、言葉とビジュアルのギャップから想像を膨らませるのも田中作品の醍醐味である。
本展ではそうした田中秀介のものの見方に従って、彼の作品と美術館の所蔵作品が選ばれている。自分は何をどう見ているのか、そもそも見るとはどういうことか、見方によってものの捉え方も変わるのか、そんなことを考えながら鑑賞すれば、きっと新たな発見が得られるだろう。期間は、8月30日まで、料金は一般520円。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)