解体予定のビルに巨大な壁画、国によって違う「アートは不要不急か」
巨大アートを描く『神戸ミューラルアートプロジェクト』が、7月13日から「神戸市役所」2号館庁舎の壁面へのペインティングを開始。日々彩りが加えられ、道行く人の目を楽しませている。
■ペインティングによる現在進行系のアート活動
高所作業車に乗って庁舎南側に巨大壁画を描くのは、アーティストのチチフリークさん。ロンドン、パリ、ニューヨークなど世界中でペインティングをおこなう、業界では名の知れた存在だ。
ブラジル・サンパウロで生まれ育った日系ブラジル人のチチさん。「広島の祖父母は神戸港から『笠戸丸』に乗ってブラジルに行き、母はそこで生まれた。自分が日本に来て、いま神戸にいることで循環していると感じる」と話した。
また、今秋予定されている庁舎の建て替え工事にともない、2号館北側の花時計跡地には市役所全体の空調を管理する「クーリングタワー」が仮設中。その仮囲いへのアート活動も同時進行している。
4面のうち3面に「山」「海」「街」をテーマに、公募で選ばれた地元の若手アーティストが絵画。
こちらは庁舎の巨大壁画に比べると比較的低い場所での作業になるため、通行人から声をかけられることも多く、「山」の面を描くVERO(ヴェロ)さんは「意外に年配の方が声をかけてくれるんです」と、うれしそうに話した。
■企画目的は「アーティストをきちんと評価する」
アート活動で生計を立てられる人が少ないことから「アーティストをきちんと評価し、それに見合う対価を払う文化をつくること」を目的にした本企画。
「キャンバス」となる2号館は老朽化により秋頃の解体が決まっているため、「それなら壊す前に壁画を描けるのではないか」と実現した。
本プロジェクトでは今年2~3月にかけてクラウドファンディングをおこない、約600万円の経費のうち500万円以上を調達。
当初は4月中旬から制作を始め、GWの完成を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大で開始の延期を余儀なくされた。また見込んでいた助成金も、コロナによるスポンサー企業の業績悪化で中止に。
そんななか、「アーティストによっては『アートは不要不急なのか』と存在意義に悩む人もいる」と話すプロジェクト代表の秋田大介さん。
「たしかに仕事がなくなった人は多い。ただ『アートが不要不急』という考えが日本ならでは。ドイツでは『エッセンシャル(不可欠)だ』と言っている」と、国によってアートの位置づけが異なると話した。
なお、チチさんが手掛けた庁舎南側は、7月23日に完成。もう一面・北側の壁には8月3日から、東京のアートユニット「HITOTZUKI(ヒトツキ)」が青色を基調にした絵を描くというが、着手する時期は早まる可能性がある。
秋田さんは、「アーティストは写真を撮られたりすると励みになるので、ぜひペイント作業をしているところを見に来てほしい」と呼びかけた。進行状況はツイッターなどで確認を。
取材・文・写真/合楽仁美
(Lmaga.jp)
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