関西小劇場界が起死回生のフェス開催、無料配信する理由とは
劇団など関西で活動する18団体が参加する演劇フェスが9月に初開催。その模様が無料でライブ配信されることが、8月25日の記者会見で発表された。
コロナ禍で打撃を受けたエンタメ業界だが、「自粛期間が明けても、関西小劇場界は厳しい状況が続いている」と実行委員の古川剛充さん。
「横のつながりを活かしたお祭りをすることで、活動の再開と、発展へのターニングポイントにできればと思いました」と、開催の動機を語る。
さまざまなジャンルや世代の劇団などが集まり上演されるが、開催にあたり会場ではコロナ対策を施した上で、客席は定員の4分の1に。そんな万全の感染防止体制を整えるにもかかわらず、採算度外視で無料配信の実施を決めたという。
古川さんは、「僕自身、演劇を初めて知って『こんなに良いものなら、もっと前から観てたのに』と思ったひとり。一度観れば『面白い』と思ってもらえる世界だから、そのファーストステップになれば」と説明。
「無料でいろんな動画が観られる時代に、有料にすることで敷居が高くなるのは防ぎたい。ちょっと観て、そのなかのひとりでも『劇場に行ってみたい』と思ってくれたら」と、その狙いと希望を語った。
会期は9月19日・20日の2日間。18劇団を4つのブロックに分け、各ブロックで4~5劇団が、20分以内の作品を上演する。
参加するのは、関西小劇場界の礎を築いた「南河内万歳一座」(Bブロック)や、『OMS戯曲賞』大賞受賞作家の福谷圭祐が主宰する「匿名劇壇」(Dブロック)などの人気劇団、さらに高校演劇界から「演劇部希望」(Aブロック)も。
内容もコントからギリシャ悲劇、ミュージカルから人形劇までと多種多様で、ユニークな顔ぶれだ。
会場となる「ABCホール」(大阪市福島区)での観覧は1ブロック3000円で、チケットは現在発売中。新型コロナウイルス感染対策のため、各ブロックとも75席に限定する。
イベント『ターニングポイントフェス~関西小劇場演劇祭~』の無料動画配信の詳細は後日公式サイトにて発表。
取材・文/吉永美和子
(Lmaga.jp)