関西で活躍した写真家・岩宮武二の展覧会、前衛写真の軌跡をたどる
大阪を拠点に数々の名作を残した写真家・岩宮武二(1920~1989)。彼の生誕100年を記念した展覧会『岩宮武二のまなざし』が、「大阪府立江之子島文化芸術創造センター」(大阪市西区)で11月7日よりおこなわれる。
岩宮は鳥取県米子市出身。高校卒業後にプロ野球の南海ホークスに入団するも、体調を崩して退団。1940年に安井仲治や植田備山らが活動する「丹平写真倶楽部」に入会した。1951年には瑛久が創立した「デモクラート美術家協会」に参加し、戦前の新興写真やシュルレアリスムの影響を受けた前衛的な写真作品を発表している。
戦後は大阪を拠点に国内外の多くの土地を訪れて作品を制作。写真雑誌や写真集などで活躍する。同時に後進の育成にも励み、書家や画家との交流、俳句、水墨画、シルクスクリーンの制作など幅広く活躍した。
彼の作品は、大阪府や大阪芸術大学、米子市美術館にコレクションされている。今回紹介するのは、大阪府が所蔵する約700点のなかから「岩宮武二のまなざし」をキーワードに精選したもの。代表作「佐渡」を中心に、初期作品、アルフォトやシルクスクリーンなどの実験的作品、同時代の人々との関係性が見て取れる作品や資料などで構成されている。関西を代表する写真家の軌跡を知る絶好のチャンスだ。入場は無料。
また、同展の連動企画が「ブルームギャラリー」(大阪市淀川区)でも開催される。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)