京の工芸・截金(きりかね)の魅力伝えた人間国宝・江里佐代子の仕事展
「截金(きりかね)」という工芸をご存じだろうか。截金師で人間国宝(重要無形文化財保持者)だった江里佐代子(1945~2007)の仕事を紹介する展覧会が、「美術館「えき」KYOTO」(京都市下京区)で1月2日からおこなわれる。
截金とは、金箔、銀箔などの箔を数枚重ねて細長く切ったものを、筆と接着剤で貼ることにより文様を作り出す技法。仏像や仏画を荘厳なものにするために発展し、現代ではさまざまな工芸品に用いられる。
江里佐代子は伝統的な京刺繍の老舗に生まれ、仏師・江里康慧と結婚した。その後、截金技法が途絶えることを危惧していた江里家の意向を汲んで截金を学び、康慧とともに仏像を制作する。また、工芸品への応用や公共施設の壁面装飾、スクリーンなど大規模な仕事も手掛け、截金の新たな可能性も追求した。
彼女は2007年に惜しくも急逝したが、その技術や精神は娘の截金師・朋子や工房の職人が引き継ぎ、現在にいたる。本展では佐代子の作品を中心に、康慧、朋子、工房の職人らの作品も合わせて紹介。截金技法の存在を多くの人に知ってもらい、後世に伝える機会とする。期間は1月24日まで、料金は一般900円。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)