奈良のかわいすぎる新ゆるキャラ、モチーフが意外!?

つぶらな瞳、まんまるいフォルムで、人気キャラクターのすみっコぐらしをも彷彿とさせる愛くるしい5匹の動物キャラ「ざんまいず」。そのモデルとなるのは、従来であればお堅いイメージがある「奈良国立博物館」(奈良県奈良市)の館蔵品で、今じわじわと人気を集めている。

仏教美術や埋蔵文化財の名品から生まれた彼らは、平安時代の普賢菩薩像が騎乗するゾウの「しろぞー」、鎌倉時代の木彫獅子「あおじし」、南北朝時代の楽器「孔雀文磐(くじゃくもんけい)」の「くじゃっぴ」、平安時代の大威徳明王(だいいとくみょうおう)騎牛像の「ぎゅーたろ」、古墳時代の埴輪「はにわんこ」の5匹がメンバーとなっている。

もともと2019年の展覧会用に生まれたキャラクターだが、アンケートでは老若男女から「もっと出して欲しい、見たい」「かわいい」という声が続出。以降は随所に使用されてきたが、人気が高まってきたため、7月から始まった特別展『奈良博三昧 -至高の仏教美術コレクション-』を機に公式キャラとなり、7月29日にはLINEスタンプでもデビューも果たした。

「ざんまいず」の生みの親は…?一般的にこういった公式キャラクターは、外注デザイナー制作のケースが多いが、驚くべきことに、「ざんまいず」は、同館の教育普及担当・翁みほりアソシエイトフェロー(有期雇用の非正規研究職)がデザイン・制作を担当している。

奈良女子大学の大学院で美術史を専攻、同館で保存修理指導室に勤務し、イラストを描くのは単なる趣味だった翁さん。子ども用パンフレットにイラストを描いたのをきっかけに次々と同館のイラストを手がけるように。子どもたちが好きになるキャラクターを考案してほしいという同僚研究員の依頼で描いたのが、この5匹のキャラクターだ。

実際に完成するまでに色のパターンやフォルムも検討し、「かわいいだけでなく、文化財の魅力をいかに伝えるかいうことを大切にしました」と語る通り、彼女の強みは自身も研究員であることから、それぞれの像の特徴を正確にとらえていること。

例えば、木彫獅子「あおじし」の眉毛の形や、古墳時代の埴輪「はにわんこ」の手足の形など、実物を見るとそっくりであることが分かる。「不明なことは担当の研究員に聞いたり、実物を見て描いています。仏教美術に小難しいイメージを持っている人も多いかもしれませんが、『初めて興味を持てた』などの声をいただく度にやってよかったという気持ちになります」と翁さんは話す。

ちなみに、このキャラクターたちを打ち出した2019年度の特別展では、初めて来館した子どもが82パーセント(保護者は58パーセント)もの割合を占め、リピーター(50代以上)からも「いつもと視点が違い、予想外にとても勉強になった」など好評を得ることができ、彼女がイラストやジュニアガイド(子ども用パンフレット)など担当した企画展は家族連れが増えているそう。

そして、今回の特別展『奈良博三昧 -至高の仏教美術コレクション-』では「ざんまいず」の実物が展示され、子どもたちだけでなく大人も「いたいた!」と、それぞれの像を探して楽しんでいる人が多いそうだ。

また、初めてグッズ化され、音声ガイドでは人気声優の斉藤壮馬さんと西山宏太朗さんが「ざんまいず」の「あおじし」と「しろぞー」の声を担当。奈良から生まれた新しいゆるキャラ『ざんまいず』によって、仏教美術に興味を持つ人が増えることに今後も期待ができそうだ。同展の会期は9月12日まで。一般1500円、高大生1000円、小中生500円。展示作品すべて撮影可能。

取材・文・写真/いずみゆか

(Lmaga.jp)

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