松竹新喜劇、恒例の正月公演にニューフェイス参加「謙虚な気持ちで」
正月恒例となっている「松竹新喜劇」の公演が、今年も「南座」(京都市東山区)にて上演される。その取材会が6日、大阪市内でおこなわれ、NHK朝ドラ『おちょやん』の出演者である代表の渋谷天外や渋谷天笑に加え、若手劇団員3人らが出席した。
カラッと笑える軽喜劇から心にしみる人情物まで、数多くのレパートリーを持つ「松竹新喜劇」だが、今回は江戸時代を舞台にした「まげもの」の名作2本を上演。このチョイスについて天外は、「まげものはお金がかかるけど(笑)、嘘が通じるお芝居。松竹新喜劇の持ち味としてすごく大事なものですし、お客さんによろこんでもらえると思います」と語った。
上演する2本のうち「お種と仙太郎」は、嫁・姑問題を面白おかしく描いた親子もので、久本と扇治郎が母・息子としてガッツリ絡むのが見どころ。一方の「お祭り提灯」は、提灯に隠した大金をめぐる大騒動を描いた人気作。今回は若手中心のキャスティングのため、現代的なテンポの舞台になりそうだという。
さらなる注目点は、劇団の重要な名跡「曾我廼家(そがのや)」を、39年ぶりに継承した3人の若手劇団員が、重要な役を担うこと。「お祭り提灯」の主役に抜擢された、植栗芳樹あらため曾我廼家一蝶(いっちょう)は「未だに一蝶の名に慣れてません(笑)。この役を演じてきた諸先輩方に、技術は勝てないかもしれませんが、熱意だけは負けないよう演じたい」と意気込みを語った。
また「お種と仙太郎」で嫁役を演じる、桑野藍香あらため曾我廼家いろはも「先月の公演でこの名前を名乗ったときに、拍手をいただけたのがすごく胸に染みました。この名前を大切に、謙虚な気持ちでがんばっていきたい。今回は久本さんが、どのように(姑として)いびってくださるかが楽しみです(笑)」と、抱負と期待のコメントを寄せた。
また代表の天外は、若手たちに向けて「お客さんと夢の世界で遊べるようになってほしい。そのためには先輩も含めて、ほかの人より目立つぐらいの気持ちを持つことで、オリジナリティを出せるようにと思います」と檄(げき)を飛ばした。
『松竹新喜劇 新春お年玉公演』は、1月2日~10日に「南座」にて上演。チケットは一等1万1000円ほか、現在発売中。
取材・文/吉永美和子
(Lmaga.jp)