山本耕史、次なる挑戦は幕末「この舞台で心を開国してください」

NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の三浦義村役で、強い印象を残した俳優・山本耕史。そんな彼が出演する、日英合作のミュージカル『太平洋序曲』の会見が、1月20日に大阪でおこなわれ、作品の内容と意欲を語った。

■ 「いわば逆輸入ミュージカル」同作は、ミュージカルの巨匠スティーブン・ソンドハイムの代表作のひとつ。ブロードウェイ・ミュージカルながら、舞台はなんと幕末の日本! 諸外国から開国を迫られた日本が、その未曾有の事態に立ち向かっていく様を、2人の日本人の視点から描写。さらにその世界を、山本演じる「狂言回し」が、登場人物と観客の間に立って進行していく・・・というスタイルになっている。

「欧米の側から『その時の日本はこうだったんだろう』ということを、かなり調べて作った、いわば逆輸入ミュージカル。当時の日本人の恐怖感とか、将軍があたふたしているような所は、忠実に描かれてます」と解説。

ただその一方で、日本人にとっては「これはありえない!」と思う要素もあえて入れてあるそう。「たとえば現在の日本のドラマを書くときに、ポケベルが出たら『え、おかしいじゃん?』ってなりますよね。そんな感じのことがある(笑)。ただそれを『海外の演出家が知らずにやった』と思われたらもったいないから、僕らもアイディアを出して、日本人が作ることの緻密さを盛り込めたらおもしろいかな」と抱負を語った。

当時の日本人の心の動きを尊重しつつも、遊べるところは遊ぶ。このユニークなバランスの世界を成立させるキーとなるのが、狂言回しだという。「今回は狂言回しを現代人にして、彼が自分の解釈で『こうだったらいいな』と思うことを話していく・・・という感じ。だから彼が遊びで、この世界観をイジってるという風に見えたら、エンターテインメントとして素晴らしい作品になると思います」と予測。

■ 「ぜひこの舞台で鎖国した心を開国してください(笑)」この会見中に、本作の初演が自分の生まれた1976年だと初めて気づき「なにか感じるものがありますね」と感慨を語った山本。最後に「今はまだコロナが落ち着かず、大変な日々だと思いますけど、心が疲れたなあという方は、ぜひこの舞台で鎖国した心を開国してください(笑)」と、作品世界と引っ掛けて観劇を呼びかけた。

演出は、英国からマシュー・ホワイトを招へい。狂言回しは、山本と松下優也とのWキャストとなっている。そのほかには、海宝直人・廣瀬友祐(Wキャスト)、ウエンツ瑛士・立石俊樹(Wキャスト)、朝海ひかるなどが出演。3月の東京公演を経て、大阪公演は4月8日~16日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)にて。チケットはS席1万3500円ほか、現在発売中。Wキャストのスケジュールなど、詳細は公式サイトにて。

取材・文/吉永美和子

(Lmaga.jp)

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