まさかの陰キャ、山田孝之の服部半蔵にSNSが湧く【どうする家康】
古沢良太脚本・松本潤主演で、徳川家康の厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。第5回『瀬名奪還計画』(2月5日放送)では、松平元康(家康)の妻子を今川家からひそかに連れ出すため、服部半蔵と本多正信が暗躍するという大胆なフィクションに、SNSが沸き返った(以下、ネタバレあり)。
■どうする家康、忍びに助けを求める今川氏真(溝端淳平)の元から妻・瀬名(有村架純)と子どもたちを取り戻すため、元康は本多正信(松山ケンイチ)に協力を要請。正信は半ば隠遁状態の服部半蔵(山田孝之)に声をかけ、しぶしぶ協力させる。
久々に配下を集めた半蔵は、瀬名たちのいる駿府に潜入。忍びの頭・大鼠(千葉哲也)が女中のたね(豊島花)にひそかに手紙を託すことで連絡を取れた瀬名は、自分と子どもだけでなく、父・関口氏純(渡部篤郎)と母・巴(真矢ミキ)もともに逃してほしいという手紙を半蔵に送る。
しかし正信たちの計画は、巴を通じて鵜殿長照(野間口徹)の妹・田鶴(関水渚)に漏れてしまい、服部党はほぼ壊滅状態。半蔵は大鼠の助けで命からがら岡崎に戻った。この出来事を通じて、なにかが変わった半蔵は、戦のどさくさにまぎれて長照らを生け捕りにして、人質交換に応じさせるという策を練る・・・。
■出来上がってない服部半蔵を演じる山田孝之実は脚本ができた段階で「家康の妻子は、今川から穏便に岡崎に返された説」が浮上したそうだけど、それはさておき。瀬名と子どもたちの返還の裏には、こんなインポッシブルなミッションがあったんじゃないか? と、史実の隙間で思い切り遊んだ展開に、ワクワクさせられた第5回。
まずは本多正信と服部半蔵がタッグを組んで瀬名救出作戦を開始するにあたり、半蔵が仲間たちを呼び出す方法に視聴者は注目。囲炉裏の隠し穴に玉を落とすと、その玉が遠くまで転がって、到着した里で鳴子を響かせる・・・という、スパイ映画かピタゴラスイッチか? なギミック満載の仕掛けに度肝を抜かれた。
SNSでも「ピタゴラ装置で呼び出される伊賀衆」「あのピタゴラスイッチ的合図すごい楽しくない? わくわくしない?」「ピタゴラからの生命の芽生えみたいな服部党最高で我が家爆笑」「服部党再集結のシーン、全オタクがハイテンションになるやつ」などの絶賛の言葉が並んだ。
そして山田孝之が演じる服部半蔵も、同じぐらい斬新。「忍者といえば・・・」というぐらい有名な人物(忍びではなく、まとめ役の武士という説も)だけど、今回は忍びの仕事にも、仕事仲間たちにも誇りを持てない、悩める青年として登場。とても直前の放送番組で、マヌール猫のママの声をやってる人と同一人物と思えないほどの、男の哀愁に満ちたキャラクターだ。
視聴者からも「山田孝之の服部半蔵は絶対にウェイ系だと思ってたけど陰キャでまた良いよな~」「服部半蔵が山田孝之なのに、こんなにまだ出来上がってない服部半蔵だなんて誰が予想した?」「この大河、元康を始め、徹底して『まだ何者にもなっていない誰か』を描いてる」などの声が上がっていた。
■元康の覚醒に続く、服部半蔵の覚醒しかしそんな半蔵くんの初ミッションは、瀬名ママが計画をうっかりリークしてしまい、仲間たちが一網打尽にされてしまうという散々な結果に。というか、そもそも瀬名が両親にも内緒で逃げていれば、成功した可能性が大きかったのに・・・と思うとやるせない。
SNSでも「妻子でもなんでも捨てろっていう元康ママの言う通りにしないと生き残れないってことか」「正信が『どんなに信頼がおける家臣でも裏切るんで』と言ってたのが『巴が情報を漏洩してしまう』の特大ブーメランになって帰ってくるの地獄だろ」との無念の声が多数。
さらに、ほぼ全滅となった服部党のなかでも自分の命と引き換えに半蔵を逃した大鼠には、「忍びの生き様見せてもらいました。けれど、死なないで欲しかった」「荒くれ者のようなのに気転が効いて腹も座ってて、まだ迷いの見える半蔵に後を託して逝くなんてカッコ良すぎ」「千葉哲也さんの大鼠が1話だけ出演なんて、1ミリも思ってなかったよ」と、早すぎる退場を惜しむコメントがあふれた。
しかし大鼠に、自分たちの子や孫の代の期待を託されたことで、ラスト3分は、目に見えて「リーダーの自覚」が芽生えた表情と言動になっていた服部半蔵。これは死を思うほど追い詰められたことで「わしがみんなを守る!」とダイナミックに覚醒した、第2話の家康とも通じる姿だ。この2人が周囲に支えられながら、どのようなリーダーになっていくか? そして次回から登場する、松本まりか演じる二代目大鼠の活躍にも期待していこう。
『どうする家康』は、NHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夕方6時からスタート。第6回『続・瀬名奪還計画』では、今川家の重臣を人質に取り、瀬名と子どもたちと交換するという大胆な策が、正信や半蔵たちの手で実行に移される。
文/吉永美和子
(Lmaga.jp)