約240種の冷凍食品が食べ放題、大阪で噂の「レンチン食堂」で飲んでみた→「焦らない」のが吉
12月1日にオープンし、SNSでも大きな話題となっている大阪・道頓堀の「レンチン食堂」(大阪市中央区)。定額料金を支払うと、約240種類の冷凍食品がレンジでチンして食べ放題。さらにソフトドリンク、あるいはアルコール類も飲み放題という斬新なシステムのお店である。
道頓堀エリアでもとりわけ繁華な一画にある「TSUTAYA EBISUBASHI」の地下1階フロアを丸ごと店舗スペースに使っており、オープン前から注目が集まっていたので、どんな感じだろうかと筆者も気になっていた。
そして先日、実際に行って、飲んだり食べたりしてきた。今回はその模様をレポートしつつ、その体験を通じて考えた「上手な利用法」を紹介していきたいと思う。
ちなみに筆者は酒好きで、普段から庶民的な価格帯の立ち飲みや大衆酒場でよく飲んでいる。どちらかというと「安く楽しくお酒とおつまみを味わいたい」という目線でのレポートになることをあらかじめお断りしておきたい。
取材・文/スズキナオ
■「1時間2175円」でどれだけ飲んで食べられる?まず、「レンチン食堂」のある地下フロアへエスカレーターで降りていくと、入り口付近に受付がある。そこでシステムの説明を受け、コースを選ぶことになる。
具体的には、ソフトドリンクが飲み放題となる45分1200円のプラン(延長15分ごと600円)か、アルコールが飲み放題となる45分1450円(延長15分ごと725円)のどちらかを選ぶ。受付が完了した時点でスタートとなり、食べて飲んで、最終的に利用時間に応じた料金を支払ってお店を出るという流れだ。
筆者はアルコール飲み放題のコースを選択。45分1450円に15分の延長料金725円を加えた、1時間2175円に収めるイメージで臨むことにする。コースに応じたリストバンドを腕に付けて、さあスタート!
全160席あるという広いフロアなのだが、筆者は電子レンジに近い立食用テーブルにポジションを定めた。ちなみに今回は同行の編集者・Mさんと2人での利用である。
時間制限のことを思うと焦ってしまうが、まずは落ち着いて冷凍食品のずらりと並ぶ大型冷凍庫を見ていく。50社ほどのメーカーの約240種類の冷凍食品が常時並んでいるとのことで、唐揚げやシュウマイ、餃子といったおつまみに最適な品から、パスタやラーメンやピザなど、一気にお腹を満たしてくれそうなものまで、ラインアップは幅広い。
前述した通り、今回の筆者の気分は「冷凍食品食べ放題のちょっと変わった立ち飲み屋に飲みに来た」という感じなので、お酒のお供になりそうなものから選んでみることに。
大型冷凍庫から持っていっていい品数は「1回に2品まで」というルールがあるので、まずは「四川飯店監修 国産豚の四川焼売(日本ハム)」と、「シェフの厨房 低温調理製法 ハンバーグ デミグラスソース(日本ハム)」をチョイス。
フロアに並ぶ30台のレンジ(すべて600Wに設定されている)を使い、パッケージに記載された調理法に従ってチンしていくのだが、商品によって、袋から取り出さずにそのままチンするものとか、中身を取り出してどっち側を上にして、とかいろいろなパターンがあるので注意が必要だ。気持ちは焦るが、ここは冷静に。
加熱している間に、ドリンクコーナーに向かい生ビールを注ぐことにする。アルコール類のコーナーには「ジム・ビーム」のハイボール、「翠」のソーダ割り、「こだわり酒場のレモンサワー」、「プレミアム・モルツ」のサーバが並び、ジャスミン焼酎の「茉莉花」や、「南高梅酒」を注いで飲むこともできる。レンチン同様、すべてセルフ式である。
生ビールをうまく注ぐのにまごついたりしながらも(筆者はこういう細かいタイムロスが結構多かった・・・)、無事シュウマイとハンバーグと生ビールがテーブルの上に揃った。ちなみに箸やフォーク、スプーンや紙皿、基本的な調味料などは、レンジ近くに置かれているものを自由に使うことができる。
さっそく、カラシをちょんとつけたシュウマイをいただくと・・・とんでもなくおいしい! 日々の食生活のなかでうすうす感じてはいたことだが、ここ最近の冷凍食品の進化には驚くべきものがある。ちょっと良い中華料理店で食べるのと変わらないようなおいしさに感じる。チンしたてなので当然だが、アツアツが食べられるのもうれしい。
ハンバーグも同様、肉の旨味がしっかり感じられ、ふっくらと柔らかな食感で、ソースの味付けも濃すぎず絶妙。生ビールのおつまみにするのにもぴったりだった。食べ終えたところで時計を見るとスタートから15分が経過していた。まだまだいけるな。
次に、「「香る」えだまめ風香(ノースイ)」と「だしのうまみ たこ焼き ねぎ醤油味(ニッスイ)」、「今日は家飲み 手羽唐揚げ(ニチレイフーズ)」をチンして食べる。生ビールは早くも3杯目である。特に感動したのが枝豆の香りの濃厚なこと。正直、普段は枝豆というと簡単なおつまみというイメージで、それほど味を意識してこなかったのだが、この香り高さはすごい。
これをお皿の上に盛っておけば、レンチン待ちのちょっとした時間にもつまめるし、次回も絶対に食べようと思った。たこ焼きもダシがしっかり効いていて絶品。手羽唐揚げもピリ辛でビールに合う。
食べたことがなかった5品を味わって、改めて冷凍食品をいろいろ試せる場としてとても良いなと思った。ここで気に入ったものを毎日の食卓に加えても良いのである。
5品食べたところで割とお腹が落ち着いてきた。ゆっくり食べる用のおつまみとして「蔵王えびグラタン(ニチレイ)」を選び、もう一品、スイーツや冷凍フルーツのあるコーナーから、「Delcy そのまま食べられるブルーベリー(日本アクセス)」「くちどけフローズン いちご(アヲハタ)」を持ってきた。
グラタンをチンしている間、飲み物用のカップに冷凍ブルーベリーの実をドサッと入れ、そこにサーバからレモンサワーを注いでブルーベリーサワーを作って飲んでみることに。スプーンでかき回すとブルーベリーの風味がしっかりと出てとてもおいしい。そうか、こうやって自分流にいろいろとアレンジしても楽しいのだな。たとえばパスタにハンバーグをトッピングしたっていいわけだ。
食べごたえがしっかりあるグラタンをおいしくいただきつつ、気づけばあと10分ちょっとでゴール地点に設定した1時間だ。
フロア内の一角にあるゲームコーナーで、プレイし放題のクレーンゲーム(景品は駄菓子類)に挑戦。何度かトライしてやっとゲットした「焼きそば屋さん太郎」をグラタンに振りかけて食べてみたがそれもおいしかった。
■ 元を取ろうと考えず、エンタメとして楽しむべしすっかり満足してここで今回は終了。今回の経験で筆者が得た気づきは以下の通りだ。
・最短の利用時間に設定されている45分でも思ったより長いので焦らず落ち着いて
・食べ物で元を取ろうと考えず、気になる冷凍食品を試せる場として利用するのがちょうどいい。なんならハシゴ酒の2軒目にちょうどいいかも
・グループで来てあれこれシェアするのも楽しそう
・空き時間につまめる枝豆はおすすめ
・自分なりのアレンジ方法を考えるのも楽しい
「レンチン食堂」を企画・運営している「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」の寺島さんによると、「日中にお食事をメインで利用されるお客さまも多いですよ」とのこと。なるほど、お昼時にソフトドリンク付きコースを45分間利用すればいいランチタイムになりそうだ。
また、今回はあまりそっちに目がいかなかったが、アイスやスイーツ系の品揃えも豊富なので、おやつを食べに来る感覚で使ってもいいだろう。「アイスコーナーの『雪見だいふく』を軽くチンして食べたり、みなさんいろいろアレンジされています」と、寺島さんが教えてくれた。
食事をする場としても、スイーツを味わう場としても、そして筆者のように珍しい居酒屋に来た感覚で楽しむのにも、いろいろな視点で楽しめそうな場だと思う。ぜひみなさんも自分なりの楽しみ方を探してみて欲しい。
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営業時間は朝10時~夜10時、年中無休(変更する場合あり)。場所は「TSUTAYA EBISUBASHI」地下1階。料金は45分1200円~。支払い方法はキャッシュレス(クレジットカード、電子マネー、QRコード)のみ。
(Lmaga.jp)