乃木坂46を卒業しプロ雀士へ…中田花奈「『熱狂を外へ』を担える存在になりたい」

2023年6月、競技麻雀チーム対抗戦のナショナルプロリーグ「M.LEAGUE」(以下「Mリーグ」)によるドラフト会議で、「BEAST Japanext」の指名を受けてMリーガーとなった元乃木坂46の中田花奈。

そんな彼女が、麻雀の魅力にとりつかれていく女子高校生の日常を描いたテレビアニメ『ぽんのみち』(MBS・TBS系/2024年1月放送スタート)のオープニングテーマ曲『ポンポポポン』を担当。同作の声優たちと結成したユニット、中田花奈 feat.ぽんのみちオールスターズとして歌声を披露している。今回はそんな中田に、麻雀の魅力や現在の活動などについて話を訊いた。

取材・文/田辺ユウキ 写真/木村正史

■ ささやかな幸せ描く『ぽんのみち』に親近感──中田さんにとって『ポンポポポン』は久しぶりの音楽活動になりましたね。

2020年に乃木坂46を卒業して、当時は芸能界引退も考えていたくらいなので、また音楽活動をさせていただけるとは思ってもみませんでした。麻雀用語も曲のなかにたくさん出てきますし、私自身も麻雀カフェ「chun.」(東京)も経営しているので、こういった機会からもっといろんな方に麻雀の魅力を知ってほしいです。

──同曲がオープニングテーマ曲となっているアニメ『ぽんのみち』も、麻雀好きにとっては親近感が湧く内容ではないでしょうか。

麻雀初心者の主人公・なしこちゃんがそのおもしろさに気づいていくところもそうですが、何よりあのゆるい世界観やみんなが平和に過ごしているところも好きです。「今あるものだけで幸せだよね」と、日常の幸せの1つひとつを見つけている感じが素敵。と言うのも私自身、悩んだときに見返せるようにポジティブノートというものを書いていて。

──ノートにはどういうことを書いているんですか。

「今日の差し入れがおいしかった」とか、ささやかなことです。忘れちゃいそうなくらい小さな幸せを書き留めていて。タレント業ってやっぱり気持ちが大変になるときがあって、夢を大きく持ちすぎると、うまくいかなかったときの反動に苦しんだりします。

そういうときは負の気持ちが強く記憶に残っちゃうので、ノートを読んで「私はこんなに幸せなことがいっぱいあったのに、ネガティブなひとつの出来事に押しつぶされそうになってるんだな」とマイナスな部分を払拭させて、気持ちを保っています。

──それこそ麻雀の試合ではかなりメンタルを削られるんじゃないですか。

自分が気づいていないところで試合に影響が及んだりします。自分の前回の麻雀を振りかえって、「あれは間違えていたんじゃないか」と疑心暗鬼になったり。100回やったら90回は正解する牌の選び方ができていたとしても、残り10回のミスの方に気が回っちゃうこともあって。

あとリードしているときこそ、麻雀って難しい。つい守りに入ってしまって勝負しきれずに捲られることもよくあるんです。ですから、何があってもセーフティリードとは思わないようにしなきゃいけません。

──ただ『ぽんのみち』はそんな削られるようなメンタリティとは無縁。初心者のなしこが楽しく麻雀をして、彼女がミスをしたりはしゃいだりしても、経験者である友だちは温かく受け入れてくれます。

麻雀を始めたての頃は覚えられないことが多いし、「周りに迷惑をかけちゃうかも」と心配しすぎてやめたりする人もいらっしゃいます。「そうじゃないよ」ということを『ぽんのみち』は教えてくれますよね。

「chun.」にも初心者の方がたくさん来てくださって、どんどん強くなっていくんです。勉強会として使ってくれる方も増えて、お互いに教え合いながら打ってる姿もよく見かけます。麻雀デビューの場所に「chun.」がなっていることもあり、その点でも『ぽんのみち』に親近感が湧いています。

■ 投資に競馬…人生のキーワードは「数字」?──中田さんは麻雀だけではなく、小さい頃からやっていらっしゃる投資でも書籍に関わるなどし、2023年から競馬バラエティ番組も始まりました。「自分らしい仕事ができている」という充実感も強いのではないですか。

乃木坂46のときに出した写真集のタイトルが『好きなことだけをしていたい』でしたが、確かに「良いタイトルだな、私の人生はそういうことかも」と思いました。アイドル時代は良くも悪くも「自分の役回りはこっちだから」と空気を読みすぎるところがありました。そういういう意味では好きなことを発信しやすくなったと思います。何より自分のペースでゆるくやっていけるのが、合っているなって。

──投資、競馬はお金も関わってくるものですけど、増えた、減ったで一喜一憂はするんですか。

どれも、収支がマイナスになっても全然気にならない金額で楽しんでいます。あと私は、いろいろ推理をしたうえで、結果がどうなるかに興味を持つタイプ。投資だったら「これから社会的にこういうことがおこなわれる」「そうなるとこの企業の価値はこうなる」とか。そういう体験を積み上げて、お金よりも当てた数を増やすのが好きなんです。

──かつて数字推理番組『Numer0n」(フジテレビ系)にも出演されていらっしゃいましたし、中田さんの人生のキーワードは「数字」なのかもしれませんね。

確かに。麻雀も確率論なのでまず数字が大事ですし。あと私はもともと理系だったんです。ただ理系を生かす職業に就くのって相当難しそうだなって、学生時代、個人的に感じていました。だからそうおっしゃっていただいて、「今はそれが少しは生かせているのかも」と気づきました。一方で、麻雀、投資、競馬はすべての答えが数字だけでは括れないところにも魅力を感じています。

──たとえばどういうところですか。

麻雀であれば先ほどもお話ししたようにかなりの確率でうまくいくのに、残りの数パーセントで結果が左右されるところや、運の要素があるところ。競馬は必ず本命がくるわけではなく、不確定な要素もたくさんある。あと何より馬が可愛いですから。あの可愛さは数字では表せられません(笑)。

■「久しぶりに頑張りたいことが見つけられた」──中田さんはメディアのインタビューで、いろんなものごとを「これは投資なのか、消費なのか」で考えるとおっしゃっていました。それこそ断捨離をすると「自分は捨てるようなものにこんなにお金をかけていたのか」と愕然としちゃいますね。

実は先日、ラジオ番組に出演した際もそんな話をしたんです。確かに結果的に生活に必要ないものを高額で買ったとしても、そのときは心を満たしてくれたはずなので、それは投資としてペイできているんじゃないかなって。

だから本当に意味がないものって、実は世のなかにはあまりない気がします。ただ物を買うときに、どういうメリット、デメリットがあるかは考えた方が良いかも。「代用できるものがあるんじゃないか」と一旦精査したり。

──音楽活動だけでなく、麻雀カフェの経営などもありますし、活動がより多岐にわたりそうですね。

最近は経営に気持ちが傾きすぎていて、たとえばインタビューで「最近、どんな映画を観ましたか」と尋ねられても答えられなくて、「自分っていうものがないな」と感じていたんです。そんなとき「Mリーグ」のドラフト会議で指名していただいたので、今は麻雀に気持ちを全振りしたいなって。久しぶりに頑張りたいことが見つけられたんです。

──「Mリーグ」をきっかけにタレントとしての活動機会も増えそうですね。

Mリーガーに選んでもらった理由のひとつにはきっとそういうこともあると思うんです。ずっとアイドル活動をやっていましたし、「Mリーグ」の存在を広げていくためにまたしっかり活動していきたい。「Mリーグ」には「この熱狂を外へ」というスローガンがありますが、それを担える存在になれるように頑張りたいです。

テレビアニメ『ぽんのみち』はMBS/TBS/BSーTBS「アニメイズム」枠などで放送中。 中田が歌うオープニングテーマ曲『ポンポポポン』は2月28日にリリースされる(1月24日に配信リリース済み)。

(Lmaga.jp)

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